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どうすればCEOとしてよいスタートが切れるのか
CEOになるというのは、他に類のない経験だ。選考プロセスの重圧と興奮が去り、いよいよ本格的に仕事が始まる。周囲から寄せられる期待は過去に経験したことがないほど大きく、新たに学ばなくてはならないこともこれまでになく多い。そして、人々はすぐに、新しいCEOの仕事ぶりについて評価し始める。
筆者らが所属するコンサルティング会社ラッセル・レイノルズ・アソシエイツでは、CEOのキャリアにとって極めて重要な就任直後の時期について理解を深めるために調査を実施した。その調査によると、2024年第1四半期に退任したCEOのうち、就任して1年以内に職を退いた人が15%を占めていた(この割合は、2019年には10%弱だった)。しかし、すぐに辞めていった人たち以外がすべて成功しているとは限らない。正規分布を前提にすれば、およそ80%の人たちは中程度の成績で、高い成績を収めている人は10~15%程度にすぎない。
CEOのパフォーマンスは、その会社で働く従業員だけでなく、株主や政府、そして取引先にも影響を及ぼす。新任のCEOがよいスタートを切ることは、中期的・長期的な成功を収めるために極めて重要だ。その重要性は、CEO自身にとっても会社にとっても非常に大きい。
しかし、それまでの役職とはまったく異なることを要求される中で、新任のCEOはどうすれば成功できるのか。
筆者らの調査では、新任のCEOたちがどのようなことを特に重んじ、どのような想定外のことにぶつかり、どのようなことを後悔しているのかを詳しく調べた。新しい役職で見事なスタートを切ったCEOたちの経験は、CEOになろうとしている人たちが就任に向けて計画を練り、その計画を実行し、実際に直面する困難を乗り切るうえで有益な教訓を与えてくれる。
新任のCEOたちが重要課題と考えていること
筆者らは、CEOに就任して12~18カ月の人たちを対象に35件のインタビュー調査を行った。それに加えて、178人のCEOを対象とする定量データも収集した。178人の内訳は、男性が69%で、女性が31%。そして、外部から登用された人が66%で、内部から昇格した人が34%だった。