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アイデアに対する意見の相違を、リスクの兆候と見なしてよいのか
ミーティングの場で、自社の従来のやり方とは大きく異なる斬新なアイデアが提案された場面を想像してみよう。提案者は自信に満ちた様子で話を進めようとするが、反対意見から熱烈な賛同までさまざまな意見が飛び交い、提案者の声はかき消されてしまう。
この混乱の中で、いかにして状況を整理すればよいのか。それぞれの意見をどう評価すべきか。そして、意見が割れる状況は何を意味するのだろうか。
筆者らは『ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビアー』誌に最近掲載された論文で、アイデアの価値について意見が分かれる理由を探った。実験とアーカイブ研究を組み合わせて検証した結果、アイデアが斬新であればあるほど、その価値をめぐる意見の相違も大きくなることが明らかになった。
さらに、意見の相違そのものがリスクの兆候と解釈されがちなこと、その結果、そのアイデアの価値を信じられなくなり、賛同する可能性が低くなることもわかった。
目新しさが意見の相違につながった結果、創造的なアイデアが魅力的に思えなくなり、イノベーションが阻まれやすくなる、というのは残念な発見だ。しかし、この問題が発生する理由を理解できれば、対策を講じる余地が生まれる。本稿では、筆者らの研究結果を振り返り、新たなアイデアを評価する際にチームの合意形成に役立つ戦略を提案する。
評価基準が価値認識に及ぼす影響
これまでの研究では、創造性は「有用な新規性」と描写されてきた。新規性とは、既存の提案や慣行からの距離と定義できる。アイデアが斬新であればあるほど、それを既存のものと比較するのは困難になる。つまり、新しいアイデアほど、それを評価する際に用いられる共通の参照基準が存在しない可能性が高まるのである。