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制約があるからこそ創造性は高まる
「20分以内に新規事業のアイデアを出してほしい」と言われて、あなたならば、どうするだろうか。所与の課題があまりに広範で漠然としているため、どだい無理だと考えてしまうかもしれない。我々は、このように具体的とはいえない課題に直面した時、最初から努力しようとせずにギブアップしてしまう人たちを数多く目撃してきた。
では、質問の内容を絞り込んだらどうだろう。
「〈ローラーブレード〉、〈ハーゲン・ダッツ〉アイスクリーム、映画『スパイダーマン』に共通するものは何か」
その答えは、いずれも事業コンセプトが同じであることだ。この場合、子どもが大好きなものを大人向けの高級なものにつくり替えているという点である。
これと同じ事業コンセプトが、高級ゼリー・ビーンズやメジャー・リーグのファンタジー・キャンプ[注1]、200ドルのスニーカー、企業が主催するパーティ用の高さ6メートルの砂の城、ペイント・ボール[注2]、宇宙旅行、ウォルト・ディズニーのコレクターズ・アイテムなど、25以上の新しい製品カテゴリーにも当てはまる。
ここまで来れば、だれでも自分が子どもの頃に夢中だったものを、大人向けの高額商品にあつらえ直すにはどうすればいいか考えることができるに違いない。我々は実際、経営者向けのワークショップで、この手の頭の体操をウォーミング・アップとして実施しているが、毎回、多くの参加者から興味深いアイデアが提起される。
では、我々の方法がなぜ効果的なのか、ちょっと考えてみたい。画期的なアイデアを欲している時、「箱の外側」、つまり既存の枠に縛られることなく考えろとも、また「箱の内側」、つまり既存の枠のなかで考えろとも言われない。我々は、「新しい箱」を用意し、そのなかで物事を考えるように指導しているのだ。
管理職や専門職には、箱の内側で名案を考える能力に優れた人が多い。彼ら彼女らは常に制約を受けているため、無意識のうちに、限られた範囲内で、代替を探したり、またあれこれ組み合わせたり、並べ換えたりしている。