あなたのキャリアを飛躍させる10のヒント
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サマリー:米国『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)の人気ポッドキャスト「HBR IdeaCast」の1000回記念として、アーカイブからキャリアを飛躍させる時代に有効な10のアドバイスを紹介する。

キャリアを飛躍させる10のアドバイス

 ビジネスには急激な変化が付き物で、経営手法は常に進化している。それでも、リーダーシップ、コミュニケーション、戦略、問題解決などの基本は変わらない。米国『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)の人気ポッドキャスト「HBR IdeaCast」のエピソード1000回目を記念してアーカイブから、あなたのキャリアを飛躍させ、時代を超えて通用するアドバイスを10個、紹介する。

1. 目的のあるキャリアを築く

 給料のためだけに働くのもかまわないが、それ以上のものがあれば、あなたはもっと幸せになり、生産的な役割を果たせるだろう。2019年のエピソードでノースウェスタン大学ケロッグスクール・オブ・マネジメント教授のニコラス・ピアースは、個人が目的を持ってキャリアを築くべき理由を説明している。

「本物のライフワーク」という考え方は、自分の最善の、最も大切な価値観に従って仕事の取り組み方や職場での振る舞いを決めるということだけでなく、そもそもどのような仕事をするかを、それらの価値観をもとに選ぶということでもあります。人生のどの時点においても、最も情熱を傾けたいと感じる仕事や影響は何か。どうしてもやらずにいられない仕事は何か。そして、仕事を通じて自分の魂を輝かせるという機会に恵まれた時、その仕事は本当の意味で自分のものになります。

2. 話しづらい会話を職場で避けない。そうした会話でも人々を動揺させない

 どのような仕事でも、厄介な会話は避けて通れない。そこで、どのように対処するかを理解する必要がある。まず自分の立場と考えを主張して、対立をうまく管理できる優れたチームリーダーを目指すのだ。2008年にコミュニケーションコンサルタントのホリー・ウィークスは、悪い知らせを伝える際にありがちな落とし穴について語っている。

 悪い知らせを最小限に抑えようとしたり、よい知らせに聞こえるようにして相手を喜ばせようとしたりするのは、条件反射のようなものです(中略)このような状況で明確に伝えないことが招く大きな問題は、聞き手に推測させることです。聞き手があなたの意図に沿って推測をする可能性は高くありません。人はとても利己的です。そして、そこから噂が広がり、絶えず誤解が生じるのです。

3. 自分をさらけ出しすぎず、自分らしくいる。自己開示をする時、しない時のタイミングを知る

 研究によると、自分の弱さを見せて偽りのない振る舞いをするリーダーを、チームは信頼する。ただし、自分をさらけ出しすぎると逆効果になる可能性がある。2013年のエピソードでイェシーバー大学サイ・シムズスクール・オブ・ビジネス教授のリサ・ロッシュは、無理に共感されようとすると、リーダーとしての権威を損ないかねないと語っている。

 エグゼクティブに助言があるとしたら、「誇張してはいけない」ということです。つくり話をしないこと。人は賢いから、すぐに気づきます。そして、取り返しのつかないダメージになりかねません。完璧でなくても、その状況の感情に沿った共有は、誠実でないよりはるかによいのです。もう一つ、自分をさらけ出すことは、その場の状況に適したものであり、その状況を促進するものでなければなりません(中略)自己宣伝や承認欲求を満たすためのものであってはいけないのです。

4. 意思決定を上達させたいなら、自分の過去の意思決定を振り返る

 キャリアは、自分が下してきた決断の積み重ねで形成される。臨機応変によい選択をするために役立つフレームワークも存在する。しかし、意思決定をした後に自分の考えを振り返ることに、時間や労力を割く人はほとんどいない。米空軍のF-16およびF-35戦闘機パイロットであるハザード・リーは2023年のインタビューで、パイロットとしてプレッシャーの下で意思決定をする訓練を受けた経験から、デブリーフ(振り返り)は意思決定を改善するツールとして最も優れていると語っている。

 プロジェクトが終わるたびに、どうすればもっとうまくやれるかを振り返ること。毎週末に自分が改善できる点をいくつか書き出してみましょう。1、2年続けると、自分がどれだけ改善できているかに驚くはずです。

5. キャリアの中盤は成長の停滞期ではなくチャンスだ

 人生の中盤で、選択肢が減ってきたと感じるのは自然なことだ。しかし、エアービーアンドビーのアドバイザーでホスピタリティ業界の企業でCEOを務めたチップ・コンリーはこの時期を、それまでに得た経験と知恵を活かしてキャリアを再構築する機会だと考える。2024年に彼は自分の「ミッドライフの編集」について語っている。

 それは私にとって、いくつかのアイデンティティや役割、これまでの生き方の一部を、文字通り手放すということでした(中略)50代でそれを経験した私は、キャンバスの空白が少し増えました。そして考えたのです。「さて、これらをすべて手放した今、私はどんなふうに生きたいのだろうか。私の人生に意味をもたらすものは何だろうか」

6. 懐疑的な人々を味方につけるには、彼らと協力する

 キャリアを積む中で、さまざまな経験やエゴを持つ人に出会うだろう。意見が異なる同僚に、自分の立場を主張したくなるかもしれない。しかし、ともに問題解決に取り組むほうが効果的な場合もある。オスカー受賞監督のロン・ハワードは2022年に、キャリアの初期に女優のベット・デイビスの主演作品で、協力的なリーダーシップのスタイルを採用した時のことを語っている。

 彼女は私をシットコムの若造だと思っていたから、彼女の信頼を勝ち取るために本当に苦労しました。最後はクリエイティブな論理で乗り越えました。私は彼女に向かって真剣に問いかけたのです。「これはうまくいっていない。どうすればうまくいくかな。どうすべきだろう。あなたはどう思いますか」

7. 新しい役割は学習の可能性で評価する

 キャリアの道は、上り坂ではなく旅だ。新しい役割の可能性について考える時は、はしごの一段としてではなく、学習の機会として捉えよう。マイクロソフトCEOのサティア・ナデラは2017年のインタビューで、自分のコンフォートゾーンを広げるようなキャリア選択が経営幹部への道を切り開いたことについて語っている。