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希望は組織を繁栄させる力になる
「常に最悪の事態を予測せよ。そうすれば、預言者として称賛されるだろう」。風刺家のトム・レーラーはかつて述べた。
レーラーは皮肉を込めてこう言ったが、似たような考えを絶対的な真実として捉えるリーダーもいる。たとえば、インテルの元CEOアンドリュー・グローブは、業界が発展する中で、リスクに常に注目するリーダーを称賛していた。
今日の仕事や生活において、私たちはそうした人々の発言を注視する。特に、ネガティブな意見は注目を集める。たとえば、ニュースの見出しに否定的な言葉を入れると、クリック数が2%増えることがわかっている。批判的な見解はまた、しばしば知性としても捉えられる。ある研究では、批判的な書評は好意的な書評よりも知的であると評価された。別の研究では、有能に見せるよう指示された参加者は、嫌味な態度を取ったり、メールから肯定的な言葉を削除したりする傾向があった。ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)名誉教授のテレサ・アマビールはこうした行動について、「悲観主義だけが深遠なように思われ、楽観主義は表面的だと思われる」と指摘している。
当然ながら、状況が悪くなる可能性のあることに目を向けるのは、組織の安全性を保つのに役立つ。「煙探知機の原理」によれば、誤った警報は私たちの脅威防御システムの機能であって、バグではない。何もないところから脅威を検知することがあるのは、真の脅威を見逃さないほどに感度が高いからにほかならない。進化論の観点から見ても、防御的であることが生存に役立ってきたのだ。
しかし、常に防御的な姿勢を取り続けると、かえって能力が衰える。スポーツで考えてみよう。恐る恐る試合に臨み、負けないことだけに集中すると、視野が狭くなり、創造性が低下し、チャンスを見極めることが難しくなる。負けることは避けられるかもしれないが、おそらく勝利することはあまりないだろう。
希望は、このような自滅的な行動に対する防波堤となり、適切に使われれば、組織を繁栄させる強い力となる。このように言うと、非現実的、あるいは過度に楽観的だと思われるかもしれないが、それはほとんどの人がこの概念を誤解しているからだ。
希望とは何か
行動科学の研究により、希望は人や組織にとって有益であることが明らかになっている。その理由を見ていこう。