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景気後退期に求められる
即効性ある営業手法
B2B事業にとって、現状が厳しいのは火を見るよりも明らかだ。顧客はとにかく予算を切り詰めている。従来は、顧客は予算のおおむね85%を継続的な取引に、15%を新規の取引に充てていた。そのような状況でも、売り手の側は「受注を獲得するのは難しい」と感じていたかもしれない。
しかし昨今では、顧客が「聖域なき予算カット」の大号令の下、わずかな新規取引枠すら削っているため、売上げ確保に向けたハードルは以前よりもはるかに高くなっているはずである。
それに追い打ちをかけるように、顧客リレーションシップも目に見えて細っている。買い手の側は予算を絞り込み、購買決定権を上層部に集約する傾向を強めているため、これまで関係を築いてきたマネジャーには、もはや決裁権がなかったりする。
このように書くと、「明るい材料など、一つもない」と意気消沈するかもしれない。しかし待ってほしい。企業は過去にも不況を生き抜いてきた。なかには、逆境を糧に利益を増やした企業すら存在する。
我々は、2001年にドットコム・バブルがはじけて以来、さまざまな調査およびコンサルティング活動を通して、そのような企業の事例をつぶさに追いかけてきた。
一部のベンダーは、「予算がありませんから、今回はご縁がなかったということで」といった紋切り型の対応に遭っても、おずおずと退散するのではなく、相手先の予算権限者に何とか近づいて、必要な予算枠を獲得してきた。
これに成功した企業のなかには、うぶ声を上げて間もない新興企業もある。彼らは、「啓発型営業」という手法を用いて、自社の提案を、なかなか魅力的であるという域を超えて、本質を突いた内容であると顧客たちを納得させたのだ。