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不景気を逆手に取る
攻守を兼ね備えた対策
経済危機という先の見えない状況では、何もせず手をこまぬいていることが最もリスクが高い。だからといって、拙速な行動ややみくもな行動に走れば、それに劣らぬ代償を支払うことになりかねない。
このような時期には、「どこまで情勢は悪化するのだろう」「いつまでこんなことが続くのか」といった不安が高まり、「とにかく何か手を打たなければ」とプレッシャーが高まる。その結果、的外れな課題に取り組んだり、狙いは的確でも度が過ぎたりと、動きがちぐはぐになることが多い。
しかも、やみくもな対応は、社員たちに動揺を招きかねない。そうなると、社員たちの意識が、決定的に重要なものからそれてしまう。つまり、暗い経済ニュースの陰に眠る、表からは見えない絶好のチャンスを見過ごしてしまうのだ。
不況期の課題に立ち向かうために、本稿では、迅速にして慎重、しかも攻守を兼ね備えたアプローチを提案する。多くの企業がすでに、ここで紹介するような対策に着手している。
まだ死に体の企業でなければ、目下の経済危機にどのように対応すべきか、議論していることだろう。本稿が、その場しのぎの議論や対策を緻密な計画へ転じさせる一助になれば幸いである。
ボストンコンサルティンググループ(BCG)による調査が裏づけているように、包括的で、しかも攻めのアプローチにはメリットがあれこれある。
我々の調査によれば、景気後退への初期動作がその場しのぎのものだと、たいてい後になって過剰反応することになる。たとえば、当たり障りのないコスト節減をしたものの、最終的には必要以上のコスト削減に走ってしまう。その結果、景気が回復した時、高くつくはめになる。