
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
独自のAIアシスタントは簡単に作成できる
生成AIは時間の節約に役立つ。だが頻繁に使用し始めると、同じ背景情報ファイルを何度もアップロードしたり、一般的なタスクのプロンプトを再入力したりすることで、効率向上のメリットがすっかり損なわれてしまう。そのため、多くの生成AIプラットフォームでは、カスタムメイドのAIアシスタントを作成できるようになっている。チャットGPTでは「カスタムGPT」、クロードでは「プロジェクト」、グーグルジェミニでは「ジェム」と呼ばれるものだ。こうしたアシスタントには使用頻度の高いプロンプトがストックされているので、反復的なタスクや問題をプラットフォームで対処するたびにプロンプトを入力しなくても済む。
アシスタントを作成すると、さまざまなタスクにおいて役に立つ。しかも、その作成には特別な技術的知識もコーディングのスキルもいらない。たとえば、筆者はマーケティング用AIアシスタントを自作して、過去の自分のニュースレター、記事、ソーシャルメディアの投稿のサンプルを保存している。週に数回、アシスタントを使って、コンテンツのアイデアをブレインストーミングしたり、ニュースレターをリンクトインで共有しやすいかたまりに分けたりしている。その他にも、戦略のサウンディングボード(相談相手)、テクニカルサポートの質問に回答するAI、特定分野の学術研究や応用研究を要約するサマライザー、進行中の大型プロジェクトの進捗状況を管理するプロジェクトトラッカーといったアシスタントも作成した。それらのほとんどは作成に20分もかからなかったが、仕事にかける時間を何時間も節約してくれている。
筆者は長年、職場のデジタル化について執筆や講演をし、ウェブサイトを立ち上げた経験もそれなりにあるが、筆者のコーディングスキルは高くないし、そのスキルはカスタムアシスタントの作成にはまったく関係なかったといえる。この2年間、カスタムトレーニングをした種々のモデルやアシスタントを作成し、他の多くの人々がモデルやアシスタントを作成し改良するのを手助けしてきたが、それではっきりわかったことがある。もしあなたが簡潔な言葉でプロジェクトを説明できるか、職務記述書を書けるなら、価値あるカスタムAIアシスタントを作成するのに必要なスキルをすでに持っているということだ。
それではまず、アシスタントは何の役に立つのか、次にどのようにしてアシスタントを構築し使用するのかを見ていきたい。
AIアシスタントの種類
カスタムAIアシスタントの利用法は多岐にわたるが(カスタムGPTの利用法をオンラインで検索するとわかるだろう)、最も役立ちそうなのは、主に次の4つの領域だ。
文章作成、マーケティング、コミュニケーション
ソーシャルメディアの投稿の下書きをつくったり、リポートを書いたり、プレゼン資料を作成したり、顧客の苦情に対処したりする際、AIアシスタントは文章やコンテンツの作成を支援できる。1回限りのプロンプトで作業する場合とは違い、アシスタントを設定すれば、ボットには作業に必要なガイドラインやサンプルを提供した状態にできるため、執筆や改訂が必要になるたびにそれらを探し出さなくてもよくなる。このリンク先のリンクトイン投稿は、上手に使いこなしている一例である。
ハウツーとトラブルシューティング
あなたのテクニカルな設定をAIアシスタントに教えておけば、トラブルが発生した時にはいつでもすぐにパーソナライズされた回答をもらえる。他の領域についても同じで、たとえば財務や税務のサポート役、データアナリスト、音声対応の車のマニュアル、機器修理のアドバイザーなども作成できる(ただし、生成AIはまだハルシネーションを起こしがちなので、AIアシスタントのアドバイスは、必ず状況分析やファクトチェックをする必要がある)。
またAIアシスタントを使うと、より迅速に顧客をサポートできるようになる。インスタグラムのストーリーで『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)がカスタムAIボットに関する質問を投稿したところ、カスタマーサクセスのアナリストであるロベルタが回答を寄せてくれた。AIアシスタントを使って顧客のルーチン的な問い合わせへの回答を自動化したことで、ロベルタ自身はさらに複雑な質問に集中し、より短時間でよりよい回答が提供できるようになったという。