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リモートワークやハイブリッドワークで得たもの、失ったもの
新型コロナのパンデミックが始まって間もない2020年に、かつてなく多くの人たちが在宅勤務を始めた時、『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)の編集部は、この新しい現象がどのような意味を持っているのか、そして、オフィスの中核的要素のうちでどの要素が今後も変わらずに残るのかを知りたいと考えた。
そこで、この現象を正しく理解するために、職場の変化、および人間と機械のコラボレーションに関する権威であるジェニファー・マグノルフィ・アスティルに話を聞いた。あれから5年が経過したいま、本誌は再びマグノルフィ・アスティルにインタビューを行った。ただし、目的は前回と少しだけ違う。
リモートワークやハイブリッドワークが広まって5年の間に、私たちは何を得て、何を失ったのか。そして、オフィスの真の存在理由はどこにあるのか。今回のインタビューでは、こうしたことを聞きたいと考えた。
このインタビューを通じて、企業が働き手にオフィスへの出勤再開を義務づけることが裏目に出るのはどのようなケースか、直接の対面による人と人のつながりがいまでも重要なのはなぜか、対面で行うのに最も適しているのはどのような仕事なのかといったことが見えてきた。以下に紹介するインタビューは、文章を明晰にするために編集を加えていることをお断りしておく。
──2020年の前回のインタビューでは、コロナ禍をきっかけに始まったリモートワークへの移行について伺いました。それから5年が経過しました。これまでに起きた変化のうち、予想どおりだった側面と、予想外だった側面を教えてください。
マグノルフィ・アスティル(以下略):前回のインタビューの時には、さまざまな業種でデジタルツールが急速に普及していくこと、そして私たちの共通認識における「理想的な」職場の定義が拡大することを予想していました。
実際、コロナ禍の時期に職場へのデジタルツールの導入が当たり前になりました。ビデオ会議システムのズームは、2021年の1年間だけで326%の成長を遂げています。デジタルツールの普及により可能になったコミュニケーションのパターンはすっかり日常の一部になり、長期にわたる影響を生み出しました。