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組織を陰で動かすコア・グループ
組織の中心には、すべてを決めているような集団が存在する。いや、すべての物事はこのグループの利害のために決まると言ったほうがより正確だろう。まるで、表向きの創業理念などとは無関係に、このグループの欲求や希望をかなえるために会社が設立されたかのようだ。
それ以外のこと、たとえば顧客を満足させる、富を創出する、商品やサービスを提供する、人材を育てる、株主に配当する、あるいは会社を存続させるといったことまで、すべて二の次となる。それらはあくまで、この「コア・グループ」の面々を満足させるという最終目的の手段にすぎない。
もちろんコア・グループは組織図には描かれていない。それは人々の頭のなか、心の内に存在している。ちなみに"core"の語源はラテン語の"cor"(心)ともいわれている。
社内の決定はすべて、意識的か無意識かを問わず、コア・グループに属する人々(コア・メンバー)の関心やニーズを汲み取ったうえで下される。
ほとんどの企業では、コア・グループの存在は口外してはならないタブーでもある。なぜなら、コア・グループは組織の大前提、すなわち「全社員が等しく会社の成功から利益を得る」ことに反する存在であり、おおっぴらにはできない秘密だからだ。たしかに「全社員が利益を得る」ことは間違っていないが、得られる利益の大きさにはかなりの格差が存在する。
コア・グループはいかなる組織にも存在するが、組織の歴史や性質によって、コア・グループの性格はおのずと異なる。
たとえば、創業直後の小さな企業ならば、コア・グループの顔ぶれは創業メンバーが数人、顧問クラスが1人か2人、創業者の旧友が1人、こんな具合だろう。
逆に、ゼネラル・エレクトリック(GE)やプロクター・アンド・ギャンブルのように複雑な大組織ならば、事業部ごと、部課ごと、地域ごとに何百ものコア・グループがあり、しかも相互に重なり合い、また結びついているだろう。
そして、それぞれのコア・グループは、究極のコア・グループ、つまりCEOから相談を受けるような人々から注目を浴びようとしのぎを削っている。もちろん例外もあるが、この究極のコア・グループには、まず最上層の人間が加わっているはずだ。