オフサイトミーティングを成功に導く「5つの問い」
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サマリー:リモート勤務からオフィスへの復帰で、チーム内にぎこちなさが増している。そうした中、オフサイトミーティングは協働の形を再構築するための起爆剤となりうる。しかし、その成功には単なる目標設定だけでなく、真の... もっと見る変化を促す深い問いが不可欠だ。本稿では、永続的な成果をもたらすオフサイトを設計する上で役立つ、5つの結果志向の問いを紹介する。 閉じる

オフサイトミーティングを成功させるための問い

 リーダーであるあなたは、チームに何か異変があることに気づいている。何年も続いたリモートワークを経て、会社はハイブリッド勤務あるいは完全オフィス勤務へと移行したが、オフィス復帰は円滑には進んでいない。会議はぎこちなく、非公式なコラボレーションは一貫性に欠け、かつては自然だった人間関係により多くの努力が必要となっている。つながりと連携を再構築すべく、あなたはリーダーシップチームのオフサイトミーティング(オフサイト)を計画することを決める。

 オフィス勤務を義務づける企業が増える中、いまこそチームワークを強化し、チームが協働する方法を再定義する重要な時だ。オフサイトは、そのための強力な起爆剤となりうるが、それは明確な意図を持って設計された場合に限られる。多くのリーダーは、目標を設定すればオフサイトの成功が保証されると考えるが、筆者らの経験上、それは始まりにすぎない。

 筆者らは顧客企業向けにオフサイトの設計とファシリテーションを広範にわたって行ってきたエグゼクティブコーチとして、最もインパクトのあるオフサイトは目標設定だけではなく、真の変化を推進する深い問いに取り組むものであることを目の当たりにしてきた。目標を明確にすることは明らかな第一歩だが、本稿では、永続的な成果をもたらすオフサイトを設計する上で役立つ、見過ごされがちな5つの結果志向の問いを紹介する。

1. チームにどのように感じてほしいか

 チームにどう感じてほしいかを考慮することは、オフサイトの設計と実施に大きな影響を与える。新しく立ち上がったリーダーシップチームのためにオフサイトを計画した公益事業会社のリーダーを例に取ろう。筆者の一人(フェルナンデス)がチームにどう感じてほしいか尋ねたところ、彼女は「居心地よく、快適で、つながりがある」と答えた。この意図に沿って、会場は殺風景なホテルの会議室から、魅力的な貸し別荘へと変更された。堅苦しくない場がより深いつながりを育み、望ましい感情的な成果を達成した。

 ある動物医療サービスのリーダーシップチームは、コラボレーションの強化に焦点を当てたオフサイトを計画していた。CEOにチームにどう感じてほしいかを尋ねると、彼女は熟考し、「評価され、称賛され、支えられている」と答えた。筆者らは困難な1年を乗り越えたチームのレジリエンスを評価し、アジェンダを再構築して、協働的な強みを発見するエクササイズから始めることにした。全員が同僚一人ひとりの強みを認め合う機会をつくったのだ。このエクササイズによってすぐに士気が高まり、CEOが達成しようとした感情的なインパクトが強化された。さらに、その感覚は持続し、より体系的な方法でいっそうのコラボレーションを促進した。生み出したい感情について意図的であることは、適切な体験をつくる上で非常に有益だ。

2. チームの成功を妨げているものは何か

 ある大手小売業者のリーダーシップチームは、意思決定を効率的に行うことに常に苦戦していた。そのためチームは最大限の可能性を発揮できず、主要な取り組みが不必要に遅延していた。リーダーが問題の原因を調べると、チームは意思決定の仕組みを欠いており、どの決定に誰が関与すべきかが明確でないことが明らかになった。

 オフサイトでは、意思決定をサポートする具体的な意思決定ツールが議論され、3つのリアルタイムの状況に直接適用された。適切なツールを提供し、それを実際の状況に適用することで、チームは今後の意思決定プロセスを即座に明確にすることができた。

3. チームが新たな軌道に乗るためにどのような行動の変化が必要か

 オフサイトの「ビフォア」と「アフター」を検証する際に、どのような点で物事が変わることを望んでいるのかを考える。優れたオフサイトは、チームのストーリーにおいて記憶に残るマイルストーンとなり、その後、チームは新たな軌道に乗る。その軌道は、オフサイト後の行動が変化することによってのみつくられる。

 たとえば、ある教育系非営利団体のリーダーシップチームは、会議を受動的な状況報告から、全員の最高の思考を活用するダイナミックな議論へと変革したいと考えていた。チームは対立を避ける傾向があったため、会話は表面的で、問題解決の機会を失っていた。

 オフサイトでは、より生産的な議論の必要性が話し合われ、多様な視点を奨励することやアクティブリスニングの実践など、対立を乗り越えるための規範を共同で作成した。これらの行動を強化するため、彼らは各リーダーシップ会議で複雑な問題に取り組む時間を設け、積極的に規範を実践した。この変化により、オフサイト後の会議はより活発でインパクトのあるものになった。

4. チームに何を辞めさせたいか

 オフサイトを行うと、決まってチームのToDoリストに新しい行動が加わる。何を減らせるかをリーダーが考えることはあまりない。効果的に機能し、新しいアイデアを実行するキャパシティを生み出すには、そのための余地をつくる必要があることを優れたリーダーは知っている。

 筆者のファン・ルーフの顧客の一人に、金融サービス企業のCEOがいる。彼女は最近、組織再編を行ったが、現在のリソース配分が事業の戦略的焦点と一致していないことに気づいていた。最も重要なことは、彼女のチームが社内のリソースをどう割り当てるかだった。オフサイトの冒頭に「辞めるべきこと」を話し合う機会を設け、チームはキャパシティをつくるために排除できる作業方法と摩擦を特定した。何十ものアイデアが出され、その中から即座に辞めることをチームは共同で3つ選択し、各自が1つ選択した。それによる解放感は明白で、このエクササイズが組織全体の起爆剤となって、さらなる排除を促し、最も価値の高い仕事のためのキャパシティが創出された。

5. どうすれば定着させることができるか

 オフサイトは、人々が通常のルーチンの中で一時停止し、つながり、内省するための機会を提供するが、その後、日々の忙しさに戻ってしまいがちだ。しかし、永続的な調整や変化は可能であり、大きな意義を持つ。それを定着させることは、計画の一部として考慮されるべきで、後でつけ加えるものではない。

 オフサイトの終わりに、少数のコミットメントについてチームと連携を図る時間を設ける。すべての参加者が責任を負うことを期待し、四半期ごとにコミットメントに対するチームの進捗を確認する。進捗が見られない場合は介入し、継続的な努力が見られる場合はそれに褒賞を与える。

 フォローアップを確実に行うもう一つの方法は、特定のコミットメントについてチームに責任を負わせる推進役を設けることだ。たとえば、あるメディア企業のリーダーシップチームは、オフサイトで意思決定の効率を向上させるための新しい規範を策定した。その規範が定着するよう、彼らは各チームミーティングに「規範推進役」を割り当てた。これは、遵守状況を監視し、逸脱を穏やかに指摘する交代制の役割だ。彼らはまた、うまくいっていることを振り返り、規範を調整し、コミットメントを強化するために30日間のフォローアップセッションも設けた。こうしたステップが、変化を日常のルーチンとして定着させるのに役立った。

 オフサイトは単にオフィスから離れる日ではない。それはチームの軌道をリセットする機会だ。上記の5つの問いに焦点を当てることで、ルーチンとなっている会議を意味のある変化を起こす起爆剤へと変えることができる。目標を設定し、適切な問いを投げかけ、つながりや明確さ、勢いを生むオフサイトを設計し、実施すれば、チームは成功に向けて準備万全でオフサイトを終えることができる。


"Planning an Offsite for Your Leadership Team? Ask These 5 Questions," July 17, 2025.