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プロジェクトの打ち切りは「最後の手段」ではない
チームや組織は大抵、プロジェクトの始め方はわかっているものだ。緊急性を持ち、足並みを揃え、十分な予算を確保してスタートする──。一方で、プロジェクトをうまく終わらせる方法を知っているケースははるかに少ない。
筆者はコンサルティング業務を通して、プロジェクトの打ち切りが「最後の手段」として扱われたり、ひたすら回避されたりする状況を頻繁に目の当たりにしてきた。その結果、一部のリーダーはサンクコストの誤謬に陥り、プロジェクトの価値がピークを過ぎた後も延々と継続させ、資本を縛りつけ、士気を低下させ、業績を損なってしまう。
これに対し、戦略的なリーダーは、打ち切りを価値創出サイクルの一部に組み込み、プロジェクトの規律ある打ち切り戦略がリーダーシップの中核的なスキルであると認識している。
プロジェクトの終了は撤退ではなく、集中への回帰である。その打ち切りが、明確さや尊厳、価値の回収をもって実施されれば、それは業務整理の一環となり、戦略的優位性を生み出す。
意図的にプロジェクトを終了させるために、シニアリーダーは神経科学に基づいたアプローチである「4Rフレームワーク」──リタイア(終了)、リダイレクト(方向転換)、リパッケージ(再構成)、リフレクト(振り返り)──を活用すべきだ。
この4Rフレームワークは、筆者がフォーチュン100企業や連邦政府機関、テクノロジー企業に対して、プロジェクトポートフォリオ管理に関する戦略コンサルティングを行ってきた20年の経験から導かれたものだ。組織がプロジェクトの立ち上げだけでなく、きれいな終わらせ方についても苦心している様子を、筆者は目の当たりにしてきた。
プロジェクト実施後のレビューやリソースマッピングのセッション、打ち切り計画の取り組みを通して、あるパターンが浮かび上がってきた。それは、プロジェクト終了の枠組みを備えているチームでは、パフォーマンスが向上し、士気の回復が早く、教訓が次に生かされやすい、というものである。
このフレームワークは、神経科学の原則(認知的完結や意思決定疲労など)、プロジェクトマネジメント協会(PMI)のベストプラクティス、そして経営幹部チームによるポートフォリオ整理やキャパシティ回復、高度な信頼文化の強化に役立つ実地での経験を統合したものだ。このアプローチを採用した企業は、優先順位の明確化、やり直しの減少、打ち切り後のエンゲージメント向上を報告している。特に、プロセス全体を通して尊厳と学びが重視されていたケースでは、この傾向が顕著であった。
本稿では、プロジェクトを終了させる際の具体的な進め方を紹介しよう。
1. リタイア(終了):沈黙ではなく、目的を持って終わらせる
プロジェクトの自然消滅は避けるべきだ。しかし実際には、承認や終了手続きのないまま、静かに終わってしまうケースも多い。一方、うまく機能している組織は、プロジェクトのリタイアを、立ち上げの時と同じ枠組みで扱う。