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グループ・プレミアムの追求
なぜ、いまグループ経営を見直さなければならないのか。なぜ、変革しなければならないのか。
それは、デジタル技術による従来とは異なる産業分野の融合、あるいはグローバル・ベースの経済規模の追求といった産業構造の変化にある。産業構造の変化は、製品そのものや生産に付加価値の源泉を求めた企業戦略の抜本的な変更を迫っており、それに合わせてグループ組織の再編が必要になっているからである。
多くの企業は、大なり小なり、分権化した事業部門や子会社を構成してグループ経営を展開している。グループ経営を定義する際、子会社や事業部の形態か、独立した法人格か否かは関係ない。その本質は、個々の事業単位の企業価値を総和させた以上にグループ全体の企業価値を最大化させる「グループ・プレミアム」を創造することにほかならない。
そのために、プロフィット・センターが集合したグループの「インテグレーション」を維持しながら、各組織に自律的な「イノベーション」を促すことが重要となる。
インテグレーション・プロセスとは、特定の目標に向かってグループ内の諸々の力を結集させ、技術開発力や組織能力を統合することであり、また競合他社との競争力を発揮させることである。その際、どのような価値観や企業ビジョンを掲げることによって、インテグレーションを図り、グループ・プレミアムを獲得もしくは向上させるかが目標となる。
一方、イノベーション・プロセスとは、環境の変化や市場の多様性に適応し、新製品や新規事業を創造したり、目標を達成させる新たな方法を発見したりする、まさしくジョセフ・シュンペーターが唱えた「新結合」を図ることである。
この場合、どのような仕組みによって、組織的なイノベーションを引き起こすかが課題となる。インテグレーションとイノベーションは、けっしてトレードオフの関係ではない。また、個別の企業価値を重視して、非関連事業をもグループ化した集合体であるコングロマリットとは本質的に異なる。