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組織デザインは経営者の悩みの種
組織デザインはサイエンスなのか、それともアートなのか。ほとんどの企業においていずれでもない。
組織という概念とデザインという概念はそもそも矛盾する。秩序と体系を備えた計画に基づいて、新しい組織が産み落とされることは稀である。むしろ時間と共に思い出したかのように改編され、方針よりは駆け引きによって、そのかたちが決められることが多い。
行き当たりばったりでつくられたため、経営者はいつも欲求不満を感じている。新たな戦略が打ち出されても、当該部門が分散していたり、責任の所在がはっきりしなかったりと、足踏みを強いられるか、はたまた雲散霧消してしまう。
部門同士の縄張り争いのおかげで、協力やナレッジ・シェアリング(知識共有)にもどこかに軋みが表れる。経営者の目が行き届かないため、有望な市場機会を失う羽目にもなる。
マトリックス組織(たとえば、地域、製品、顧客など複数の軸を用い、格子状に組み合わせた組織)といった複雑すぎる構造は責任の所在が不明確なために崩壊する。
組織が思うように機能していない場合、エグゼクティブのほとんどがそれを感じているが、どうすればそのような状況を是正できるかまでわかっているわけではない。
また、組織全体を再設計するのはとてつもなく膨大な作業が必要であり、つい腰が引けてしまう。その理由も複雑に絡み合っており、トレードオフや変動要因が際限なく噴き出してくるためである。しかもそれが意見を対立させる原因となって、しばしば個々人の衝突やパワー・ゲームへと発展していくからでもある。