リーダーシップとは身をもって示すこと

 リーダーシップとは、模範を示すことだとしばしばいわれる。であれば、今日のリーダーたちは、何を規範としてきたのだろうか。彼らが実際に経験した、よいリーダーシップと悪いリーダーシップを定義づけた事例について語ってもらうことは、理にかなっているだろう。

 本稿ではビジネス、教育、芸術の各分野のリーダーたちに、次の質問を投げかけてみた。有効なリーダーシップについて、最も影響を受けた人物、経験、文学作品は何か。さらに、リーダーシップの悪しき例を教わった人物や経験についても聞いてみた。

 もちろん、どれ一つとして同じ回答はなかったが、興味深い類似点がいくつか浮かび上がってきた。

 最も注目に値するのは、複数の回答者がリーダーシップは家庭で学んだと答えていることである。彼らは、よきリーダーシップの原則を教えてくれたのは自分の親であったと答えている。

 また、興味深いことに、回答者の何人かは、自分の過ちから、悪しきリーダーシップを学んだと答えている。

 一方では、軍隊経験によって自分は変わったとするリーダーも何人かいた。また、1960年代の社会運動に身を置いたことで、自分自身を認識する機会があったとする回答者もいた。

 必然的に、ここに収録された話は、さまざまなリーダーシップの原則や哲学に言及している。しかしそれはけっして口先だけでなく、経験に基づく言葉である。そして、それこそが最も重要な教訓なのかもしれない。