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最も大切な「市場」を忘れていないか
マーケティングについて考える時、「どのようにしたら、もっと多くの人に自社商品を買ってもらえるのか」といったように、だれでも顧客を対象にして考えるだろう。
もう一つ重要な「市場」がある。それは、自社の社員である。ブランドを浸透させ、顧客に価値を提供するのは、まさに彼らである。
筆者はブランド戦略の構築と実行について経営陣のお手伝いをすることが多い。その経験からすると、企業は最重要基盤となる社員を、無視してしまっていることが多い。
社内マーケティングがなぜ重要なのだろうか。それは何と言っても、社員の感情を製品やサービスと一体化するのに最善の方法だからである。
社員の思い入れがなければ、広告で伝えようとするメッセージも十分な効果を発揮できないだろう。場合によっては、顧客へのメッセージを社員が理解していないため、その期待に反した働きをしてしまうこともある。そのほかにも、ブランドの価値を信じていないとか、会社から疎外されていると感じたり、ともすれば自社に対して敵意を持ったりすることさえある。
社員がブランドに関心を示し、その価値を信じれば、もっと一生懸命に働くだろうし、ロイヤルティも高まるだろう。社員が目的とアイデンティティを共有することで気持ちが一つになり、奮起するのだ。
残念ながら、社内マーケティングを実践している企業は少ない。効果的に行っているかとなると、なおのこと心細い。社員に企業の戦略や方向性について知らしめる重要性を理解している企業幹部は多いが、ブランドを知らしめる必要性を理解している人はほとんどいない。ブランドについてはすでに知っていると思いこんでいるのだ。