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経営陣からの戦略変更を現場にどう伝えるか
経営幹部が示す変更は、現場の現実とはかけ離れた(あるいは無関係な)抽象的なアイデアだと受け止められることが多い。それが自分たちにとって何を意味するのか、部下たちが理解できるようにサポートするのがチームリーダーの仕事だ。さもなければ、経営幹部の示した変更は、大々的に発表されたものの定着せずに終わってしまう。
では、戦略の変更をチームに伝える最善の方法とは、どのようなものだろうか。この取り組みをどう具体的な言葉で説明すればよいか。また、その変更に問題があるという懐疑的な見方が存在している場合は、どうすればよいのか。
専門家の意見
変化を伝える存在になるのは、難しいことが多い。このコミュニケーションの難易度は、変化に対する抵抗のレベルで決まると、ノースウェスタン大学ケロッグスクール・オブ・マネジメントの教授で、リーダーシップ開発・コミュニケーションプログラム共同ディレクターを務めるシャナ・キャロルは語る。「チームの態度次第だ」と彼女は言う。「これがポジティブな変化である理由を、あなたのチームは理解できるか。それとも、そのように考えることに苦しんだり、反発したり、自分たちへの影響を理解できずにいたりするだろうか」
こうした断絶はよくあることだ、とミズーリ大学ノバック・リーダーシップ研究所で研究部長を務めるジャスティン・ウィレットは言う。ウィレットの研究分野は、リーダーシップコミュニケーションと企業文化だ。もちろんリーダーであるあなたは、新しい方針や変更がビジネスにとって重要な理由を理解している。取締役会でどのような話し合いがあったかも、よく知っている。だが、他の誰もが同じように理解していると思い込んではならない。「最前線の従業員は、『これは自分には関係ない』と思うかもしれない。だからこそ、彼らが点と点を結びつけて全体像を理解できるように手助けし、リーダーの発言が会社の目標だけでなく、自分の仕事にも関連することを理解してもらう必要がある」。以下では、その方法をいくつか紹介しよう。
その場の空気を読む
変更を発表する前に、一歩下がって、それがどのように受け入れられる可能性が高いかを検討するよう、ウィレットは勧める。従業員の立場は皆同じではない。大局的な構図についての理解やスキル、視点は、人それぞれだ。「おそらく、あなたはすでに部下たちのことをよく把握しているだろう」と、ウィレットは言う。「彼らの現在の状況を考えてみよう。何に共感し、何にやりがいを感じ、どの領域で成長したいと考えているか」
一方、キャロルは、「ネットワークノード」と呼ぶものを見つけることを提案する。これは「組織の中で、幅広い人たちと交流があるスーパーコネクター」のことだ。彼らを相談相手として活用し、人々がどのように反応するかを予測するとよい。「彼らに、『どのような懸念がありますか』と聞いてみよう。『これを実行するには何が必要ですか』『どのようなことを強調すべきですか』などだ」。彼らの意見を参考に、アプローチを調整しよう。
最前線のマネジャーに注目する
現場のマネジャーは、メッセージがどのように伝達され、チームがどう反応するかを左右するカギとなるため、キャロルは彼らに注目することを推奨する。現場のマネジャーは従業員と直接仕事をし、実際に何が起こっているのかを明確に把握している。「最前線のマネジャーは、従業員がモチベーションを維持し、自分の仕事にどのような意味があると考えるかについて、著しく大きな影響を与える」と彼女は言う。「コミュニケーションが自分の重要な仕事であることを、現場のマネジャーが理解できるようサポートし、そのためのスキルとツールを与える必要がある」
変化の時代において、従業員が頼りにするのは現場のマネジャーであることが多いため、このようなサポートが重要だとウィレットは言う。「こうした人間関係こそ、信頼が築かれる場所だ。そこが強固であれば、従業員は自分の声に耳を傾けてもらっていると感じ、心を開いて、『この新しい指標が心配だ』など、頭に浮かんだことを何でも言いやすくなる」
翻訳者のように考える
現場のマネジャーのコミュニケーションスキルを育てると同時に、あらゆるレベルの従業員が変更の背景にある理由を理解できるよう手助けする必要がある。「従業員の反応は賛成か反対かの二択ではなく、その間にはさまざまな度合いの意見が存在する」とキャロルは言う。「ごく一部はワクワクして、そのビジョンを理解するが、中にはこだわって抵抗する人もいる。ほとんどはその中間だ」