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ソーシャル・キャピタルが生産性も創造性も向上させる
社員同士が相互理解し、信頼関係が成立している企業では、あらゆる業務がスピーディかつスムーズに処理される。生産性や創造性も高まり、必然的に業績も高くなる。このことは、マネジャーの多くが認めるところだろう。
良好な人間関係は、組織の潤滑油である。それがなくても業務は遂行されようが、長い目で見れば、次第に摩擦は激しくなり、支障が生じてくる。
このように、組織を効率的に動かす人間関係のことを、最近の経営学では「ソーシャル・キャピタル」(social capital)と呼んでいる。この言葉は、人間関係に投資すれば、しかるべき配当にあずかれることを、明快に表現している。
ただし、単に社員同士の絆を強めればよいのかというと、それほど単純なものではない。理由は2つある。
第1に、今日の激しい変化とバーチャル・オフィスへの過信のせいから、多くの企業においてソーシャル・キャピタルは危うい状況にある。つまり、物事の移り変わりが急なうえに、多くの人が社外あるいは独立して働いているため、社内で良好な人間関係を築くことが非常に難しい状況にあるのだ。
第2に、どのようにソーシャル・キャピタルに投資すればよいのか、これを理解しているマネジャーがほとんどいないことが挙げられる。健全な人間関係が組織を成功に導く。ただし、頭で理解することと実現させることはまったく別物である。
過去3年、我々は、ソーシャル・キャピタルへの投資に関する活動と技術について調査してきた。その結果は、読者のみなさんを驚かすような独創性には欠けるものの、具体性には富んでいると自負するところだ(調査の結果、経営学者よりもマネジャーのほうがソーシャル・キャピタルについて理解していることもわかった)。
本稿では、マネジャーはいかに部下同士の結びつきを強化し、いかに確固たる信頼関係を育むべきかについて論述する。
ソーシャル・キャピタルは損なわれつつある
まず、ソーシャル・キャピタルを脅かす、激変する事業環境とバーチャル・オフィスについて説明しよう。
激動の時代にあって、毎日のように破壊的技術が新製品や新市場を生み出している。実際はそうではなくとも、その切迫感から、企業は日々構造改革に取り組んでいる。



