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多くのチームがデジタルディスラプション追いつけていない
2020年、製薬会社のエグゼクティブだったコンラッド(仮名)は、大きな難題に直面しているとのことで、筆者らに相談してきた。彼は、デジタルツールを使って創薬と開発のプロセスを加速するチームのトップに就任したばかりだった。
技術的な問題も多々あったが、もっと深刻なのは、リーダーシップ面の課題だと、コンラッドは考えていた。チームを取り巻く技術的な環境は急速に変化しているのに、彼のチームは時代遅れの慣行に縛られて、「直線的で、スピードが遅く、面倒な手続きや仕組みに身動きが取れなくなっている」という。
彼が相談したいことは明白だった。デジタルディスラプション(デジタル技術による破壊的イノベーション)の時代にチームをうまく統率するために、リーダーは何をすればよいのか、ということだ。他にも数十人のリーダーが、同じ悩みを抱えて筆者らのところにやってきた。そこで数年がかりの研究に着手することにした。
筆者らは、2020年に『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)に掲載された論文で、エグゼクティブは伝統的なリーダーシップスタイルと新しいリーダーシップスタイルの間にある7つの緊張に対処する必要があると指摘した。そしていま、生成AIのような新しい破壊的なテクノロジーが牽引する時代に、これらの緊張はどのようになるのかを調べることにした。
具体的に知りたいと考えたのは、デジタルディスラプションの時代において、特定の緊張がリーダーシップの有効性を予測するための指標になるかどうかだ。数十社へのコンサルティング活動と、欧州最大級の多国籍企業のリーダーを徹底的に調査した結果、筆者らが出した答えは、「イエス」だった。
本当に重要な行動とは
筆者らは、2022~2024年、約300人のリーダー(部門や地域の異なる役員と経営幹部)に対して、360度評価を実施した。また、7つのリーダーシップスタイルの間にある緊張関係に関連する具体的な行動(図表にその例を示した)について質問を行った。その例を次の表に示そう。
調査対象となったリーダーは、自己評価をすると同時に、直属の部下や同僚、上司、顧客の評価を受けた。また、デジタルの側面が強い状況におけるパフォーマンスについても質問した。
リーダーが正しく対処しなければならない緊張関係
デジタルディスラプションをうまく切り抜けたリーダーは、伝統的なリーダーシップと新しいリーダーシップの計14の行動すべてを活用していることがわかった。ただ、飛び抜けてインパクトの大きい緊張関係が一つあった。それは採掘者と探鉱者の関係だ。
            

    
    
    

  
  
  
          
          
          
          
          


