不満はあるのに職にしがみつく従業員を放置してはならない
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サマリー:職場への不満やストレスを抱える従業員が増加している一方で、経済的な懸念から転職に踏み切らず、現職に留まる「ジョブハギング」という傾向が強まっている。離職率の低さに安堵し、潜在的な不満を放置すれば、組織の活力は失われかねない。リーダーはいまこそ、この危機に対処すべきだ。本稿では、従業員の不満の要因を考察し、組織として課題に向き合うための8つの問いを提示する。

多くの従業員が職場に不満を抱えている

 どのデータも一貫して、ある傾向を示している。人々は仕事で不満を抱えている、ということだ。従業員の5人に1人は仕事がメンタルヘルスに悪影響を与えていると答え、約3割が職場はつながりに欠けている、あるいは人間味がないと表現し、4割超が大きなストレスを抱えていると回答する。

 しかし、不満が高まっているにもかかわらず、従業員は会社を辞めていない。「ジョブハギング」(職にしがみつく)、つまり、仕事に不満があっても、職場に留まっている状態だ。「なぜ人々が転職に慎重になるのかは理解できる」と語るのは、コネチカット大学経営学准教授のトラヴィス・グロッサーだ。「パンデミックの傷跡はいまだに人々の働き方や同僚との関係に影響している。経済面の懸念やAIが雇用に及ぼす影響への不安もある」

 リーダーは、他の差し迫ったような課題に気を取られ、こうした問題を無視したくなるかもしれない。しかし、それは短絡的だ。従業員が不満を抱えていると、組織全体に影響を及ぼす。「成長を牽引するのは従業員だ」と、コーン・フェリーのアドバイザリー部門シニアクライアントパートナーであるマーク・ロイヤルは述べる。「従業員が前向きな状態でなければ、モチベーション、コミットメント、そして自主的努力に影響が出る」

 本稿では、従業員の不満を生み出している要因を考察し、組織として正面から向き合うための8つの問いを提示する。

1. チームが直面している最大の不満は何か、それを取り除くために自分は何をしているか

 あなたがチームに本気で向き合っていることを示す最もわかりやすい方法は、仕事を必要以上に困難にしている障害を取り除くことだとロイヤルは指摘する。「従業員が最もストレスを感じている要因を取り除くことで、彼らを気にかけていることを示すべきだ」

 多くのチームにとって最大の課題は業務量だ。業務量が勤務時間を上回っているのである。要求量を減らせない場合は、チームの時間とエネルギーを守ることを優先すべきだ。

 優先順位を明確にしよう。何をどの水準で完了すべきか、全員が共通認識を持つようにする。「従業員が12の仕事を抱えていたら、最重要の4つがどれかを理解できるようにすべきだ」とロイヤルは述べる。「残りは他の人に任せるか、先送りするか、やめる判断もある」

 ボトルネックにも着目すべきだとグロッサーは言う。煩雑な承認プロセス、優先順位の変動、過剰な会議は人々を疲弊させる。「何が業務を妨げているのかに敏感になり、介入できる箇所を見極めるべきだ」

2. チームに任せられるのに自分が決定権を握り続けているものは何か

 自分自身がボトルネックになっていないかを確認しよう。あらゆる決定に自分の承認を必要としたり、逐一マイクロマネジメントをしていたりすれば、従業員は何も進められない。これほど士気を下げるものは少ない。

 チームに明確な権限を与えるべきだとロイヤルは指摘する。どの決定を担当し、どれが担当外なのかを明らかにする。「これらはあなたに判断してほしい、これはあなたが判断すべきだ、これはあなたの判断を期待している」と伝えたうえで、独自に進めさせる。