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組織における「信頼」は測定することができる
「信頼」はリーダーシップの重要な要素か──。シニアエグゼクティブにこの質問を投げかければ、力強い「イエス」の答えが返ってくるだろう。筆者が、さまざまな業界のシニアリーダー70人以上の話を聞いたところ、どのCEOも、リーダーシップに対する信頼は、従業員のパフォーマンスや顧客ロイヤルティ、収益性、そしてイノベーションといったポジティブな結果の根幹を成していると断言した。
ところが、「では、あなたの組織ではリーダーシップの信頼をどのように測定しているのか」と聞くと、ほとんどのリーダーが黙り込んでしまった。なかには、ネット・プロモーター・スコア(NPS)や従業員エンゲージメント調査といった代理指標を挙げるリーダーもいたが、信頼は極めて「ソフト」で主観的なものであり、測定できないと話す人もいた。
このミスマッチは、大きな影響を及ぼしつつある。ステークホルダーの期待が高まり、リモートワークや社会的説明責任、世代交代などによって組織が一段と複雑になるにつれて、リーダーシップへの信頼にはこれまでになく厳しい目が向けられるようになった。それでもなお、多くの組織は依然として、信頼を追跡可能な変数ではなく、感覚的なものとして扱っている。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の最近の調査では、「経営幹部の中で、真に信頼の責任を負う人はいない」ことが明らかになった。
財務リスクやサイバーセキュリティの脅威ならば、このように無頓着で主観的な扱いを受けることはないだろう。不祥事が公になったり、社内の士気が低下したり、企業文化が崩壊したりして信頼が損なわれると、会社の評判にダメージを与える重大なインパクトがもたらされる可能性がある。
リーダーシップへの信頼は、測定可能で管理可能な事業資産であり、他の戦略的変数と同様に、可視化し、モニタリングし、それについて行動を起こし、ベンチマークをつける必要がある。筆者は英アストン・ビジネス・スクールでの研究と、企業経営者やトップクラスのスポーツリーダーに対するエグゼクティブコーチとしての仕事を通じて、経営幹部と取締役会が信頼を効果的に測定するための4つの重要なステップを発見した。
測定ツールの決定
この10年ほどの間に、信頼を目に見える、具体的なものにする新しい枠組みが登場してきた。これらのツールは、リーダーの特定の行動について社内のステークホルダーの見解を調査することで、確かな信頼指標になる。
リーダーシップ・トラスト指数(LTI)はその一例だ。これは筆者の研究に基づく調査診断で、英国の数十の組織で導入されている。LTI は、「信頼の9つの習慣」(Nine Habits of Trust)というモデルを使って、信頼と関係するリーダーシップ行動(オープンさ、誠実さ、謙虚さ、人を鼓舞する力いった特性を含む)を評価する。
もう一つの有名なモデルは、ポール・ザックの神経科学に基づく「組織信頼指数」(Organizational Trust Index)だ。このモデルは、パフォーマンスの高い職場を育むうえで信頼が欠かせない役割を果たすことを強調する。ザックは、特定のリーダーシップ行動が、エンゲージメントや生産性、そして全体的なウェルビーイングの向上につながることを示している。
スティーブン M.R. コビーの「信頼のスピード」(Speed of Trust)診断も、信頼を組織の効率やコストに大きな影響を与える測定可能な資産と位置づけることにより、信頼を理解し、育むためのモデルだ。
手法は異なるが、こうしたツールはいずれも、「信頼とは複雑で繊細な概念だが、測定不能なものではない」という共通の認識がある。そして信頼をアクションにつながるインサイトへと変換し、日々のリーダーシップ行動を通じて信頼がどこで築かれ、あるいは失われているのかを特定する。適切なツールの選択は、焦点をリーダー、組織全体、あるいは文化のいずれに置くか、そして対象とするオーディエンスに最も響く言葉遣いがどのようなものかによって決まる。たとえば、コビーの「信頼のスピード」診断で使われる商業的な用語は、営業主導の文化では共感を呼ぶが、オーディエンスが複数の部門や文化をまたぐ場合は、より中立的な用語が使われるLTIツールが好まれるだろう。








