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AIの進化に頼り、考えることを放棄していないか
生成AIを使ってメールやスライド資料を作成したり、会議のスケジュールを組んだり、メモを取ったりする人は多い。こうしたルーチン作業を任せることで、解放感を覚えるかもしれない。だが時間を節約することで、どのような代償を伴うのだろうか。
AIはより高次の思考を行うための余裕をもたらしてくれるが、考えること自体をアウトソースしたい気にもさせる。問題はAIの能力の高さだけでなく、その説得力にもある。最初に草案を作成し、口調は自信に満ち、高速で動く。私たちはプレッシャーや疲れを感じている時や、単に物事を前に進めたい時、「本来ならば自分で行うべき思考を、AIに委ねようとしていないか」と立ち止まって検討することなく、ツールに意思決定を簡単に任せてしまう。
この動向は見えにくいが重大な影響を及ぼす。私たちはますます、フィードバックの原文を読まずに要約を求めてAIに頼っている。チームはAIが生成したトレンドを戦略の根拠とし、その元データを常に疑おうとはしない。マネジャーは業績評価の作成をAIに頼り、トーンが中立ではない場合でも中立だと思い込んでいる。これらはリーダーシップの失敗ではない。意思決定における人間中心の部分──選択に意味を与える価値観と判断力──がいかに急速に失われうるかを示す兆候である。
優れたリーダーシップとは、すべての答えを持っていることではない。しかし、内省、勇気、目的の明確性が求められる。これらはAIでは代替できない資質だ。テクノロジーの能力が進化し、より高度なスピードと利便性を約束する中、複雑な意思決定を行うためにはスピードを緩めて深く考えることがますます必要となる。
筆者は複雑な問題の解決に焦点を当てる意思決定の専門家として活動する中で、個人の思考をAIの思考で代替するのがいかに簡単かを目の当たりにしてきた。自分がコンサルティングを担当する顧客が実際にそうである様子を目にした筆者は、AI主導の意思決定の影響に対抗する方策を研究し始めた。
この状況に対処するために、さらなる技術的スキルは不要であることがわかった。必要なのは立ち位置の確認──つまり自分の役割、タスクの本質、どの判断を機械ではなくみずから行うべきなのかに関する明確な意識である。
筆者はAIリーダーシップのアンカー(錨)と呼ぶものを開発した。リーダーが自分の役割をツール利用者ではなく「思考者」として保てるよう後押しする、4つのシンプルで持続可能な原則だ。これらのアンカーは厳格なルールではなく、気づきを促し、AIをいつ、どのように用いるべきかをめぐる主導権を維持するために設計された、思考の手掛かりである。
これらのアンカーは、意思決定の自律性と有効性を確保して維持するための効果的な方法だ。機械が高速で動き、そのスピードにあなたを引き込もうとする時にも、主導権を保ち、意思決定の結果の質と信頼性を向上させる手段となる。
AIリーダーシップの4つのアンカー
筆者のクライアントの一人で技術部門の上級幹部を務めるプリヤは、長年のつき合いがある顧客から、新しい金融取引プロトコルに対する不満を表明された時に、リーダーシップのアンカーを活用した。プリヤは会議を提案し、AIに準備を手伝うよう求めた。多くのリーダーと同じように、彼女はプレッシャーを感じ、顧客との関係を懸念し、会議を成功させようと決意した。







