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本気の議論、できていますか
会議の進行役にとって、議論をいかに建設的なものにするかは常に心掛けるべきポイントです。しかし実際にやってみると、場は活性化せず、予定調和の話し合いに終始してしまった、ということも多いのではないでしょうか。
そうなってしまう理由はいくつか考えられます。そもそもゴールが事前に共有されていない、声の大きい人ばかりが場を独占してしまう、組織の上下関係が邪魔をして率直な発言がなされない……。特に近年では心理的安全性という言葉が職場にも浸透した結果、「言い争いは避けよう」「皆にとって居心地のいい場を保つべきだ」といった忖度が生じているようにも感じます。
そこで今号の特集「よい対立とは何か 本気の議論ができるチームをつくる」では、チームメンバーが建設的な議論を重ねて一つのゴールを目指し、より創造的な発想で課題を解決するためのヒントを探ります。
特集1本目「ピクサーは『最高』を目指して、異なる意見を歓迎する」は、世界で最もクリエイティブな企業の一つに数えられるピクサー・アニメーション・スタジオの共同創業者、エド・キャットムル氏へのインタビューです。同社共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏とは意見が食い違うこともたびたびあったそうですが、そうした意見の衝突をどう乗り越えることで数々のヒット作を世に送り出してきたのでしょうか。
特集2本目「賢く意見を戦わせる方法」は、意見の異なる相手と実りある成果を引き出すために、発する言葉を慎重に選ぶことの重要性を説いた論考です。また特集3本目「これからのリーダーは対立的知性を備えよ」では、これからのリーダーに求められる対立解消能力に注目し、外交官や経営者らの実践例を交えながら対立を効果的に解消する方策を示します。特集を締めくくる4本目「心理的安全性をテコに健全な対立と学習を促す」では、心理的安全性の提唱者である筆者らが、ありがちな6つの誤解を取り上げ、いかにして健全な対立と学習を促すかを論じています。
議論を尽くす前から落とし所を探ろうとするのではなく、いかにメンバー全員が多様な意見を出し合い、チームの創造性に翼を与えることができるか。本特集がその挑戦の一助となれば幸いです。
(編集長 常盤亜由子)





