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ミスアラインメントにおけるリーダーの問題
戦略的アラインメント――市場戦略、ケイパビリティ、人材、テクノロジー、組織文化、組織構造、プロセス、システムなど企業の価値を生み出す中核的な要素を注意深く整合させる試み――が不可欠であるという点に異論を唱える経営幹部はまずいない。それ以外の条件が同じであれば、アラインメントに秀でた企業ほど高い業績を挙げる傾向がある。
それにもかかわらず、ミスアラインメントが広範囲で継続的に発生し、企業のパフォーマンスの足を引っ張っている。リーダーはどのような過ちを犯しているのだろうか。
この問いに答えるため、筆者は2025年に、主要な業界と地域を網羅する約400人の経営幹部を対象に調査を実施した。結果の分析は現在も続いているが、早い段階で得られた知見の中にも注目に値するものが複数ある。回答者の91%が、戦略的アラインメントがビジネスを成功に導く重要な要因であることに同意したが、その一方で、自社の組織で戦略的アラインメントが取れていると「強く同意」した者は、7人に1人にも満たなかった。つまり、多くのリーダーは問題を認識していながら、それを解決できていないのである。
このギャップは、企業パフォーマンスにとって重要な意味を持つ。自社は戦略的アラインメントがあると答えた経営幹部は、アラインメントが不十分だと認識している幹部を業績面で上回る可能性がはるかに高かった。自社には戦略的アラインメントがあると「強く同意」した回答者の86%は、財務パフォーマンスの目標を達成した(44%)、あるいは目標を上回った(42%)と報告している。
同様に、自社は戦略的アラインメントがあると「強く同意」した回答者の56%は、自社の業績が業界平均を上回っていると答えた。これに対し、自社は戦略的アラインメントがあるという点に「強く反対」した回答者の77%は、財務パフォーマンスが目標を下回ったと報告している。
ここで重要なのは、ひとたびアラインメントにひびが入ると、共通した根強い症状が(頻度の高いものから以下の1~4の順で)現れるという点だ。
1. コラボレーションが崩壊する。サイロが形成され、部門横断的な協働が特に必要となる局面で、それが困難になる。
2. 変革が停滞する。チームが従来の働き方に固執し、抵抗が生じる。
3. 実行力が低下する。組織の中間層が戦略の狙いを汲んで、それを行動に移さなければ、どれほど優れた戦略も勢いを失ってしまう。
4. 信頼が損なわれる。競合するアジェンダが台頭して縄張り争いや社内の摩擦が発生し、共通の目的意識が損なわれる。
こうしたパターンから、アラインメントの失敗はオペレーション上の失敗ではなく、主にリーダーシップの失敗であることが窺える。アラインメントを継続的に管理すべきものではなく単発の施策と捉えるリーダーは、ほどなくして再びミスアラインメントの状態に陥ってしまう。
では、成功の確率を高めるために経営幹部はどうすべきか。本調査と筆者が著書で論じているソートリーダーシップの知見、さらに筆者のシニアエグゼクティブ向けコーチング経験(その多くは国際的な慈善団体セーブ・ザ・チルドレンなどの組織に直接的な利益をもたらしてきた)に基づいて、戦略的アラインメントにおいて経営陣が陥りがちな共通の過ちと、それをリーダーシップの最優先課題に引き上げるための確かな手法を紹介しよう。
戦略的アラインメントに関する典型的な過ち
ミスアラインメントがこれほど頻発する背景には、リーダーシップに共通する3つの失敗がある。
責任者がいない
全社的な戦略的アラインメントを統括する責任者が存在しないケースが少なくない。調査結果が示すように、経営幹部は戦略的アラインメントの重要性を十分認識しており、多くはミスアラインメントのリスクや、それが持続可能なパフォーマンスに及ぼす脅威も理解している。それにもかかわらず、自社の事業戦略がパーパスと整合しているか、組織のケイパビリティが選択された戦略と整合しているかを確認する責任を誰が負っているのかを明確に把握している人は少ない。
「戦略的アラインメントの確保は誰の責任か」と尋ねると、筆者が関わったグループから――シニアエグゼクティブであれ、現場のスタッフであれ――最も多く聞かれる答えは、「CEO」「取締役会」あるいは「全員」だった。これらの答えはいずれも問題をはらんでいる。
大規模で複雑な企業で、一個人やごく少数の幹部に頼りきりになると、完全な情報に基づいて事業運営を行うことができなくなり、ミスアラインメントに陥りやすい。加えて、トップダウンの戦略的意思決定は、組織の中間層に降りてくるうちに意図が見失われ、狙い通りに実行されないことが多い。







