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生成AIの効果的な活用に欠かせない「プロダクト思考」
生成AIを効果的に活用する方法に関する議論の多くは、プロンプトエンジニアリング、あるいは最近ではコンテキストエンジニアリングに焦点が当てられてきた。これらは、大規模言語モデルから有用なアウトプットを引き出すためにインプットを工夫するという実務的なスキルだ。こうしたスキルは有益だが、それだけでは不十分である。
真の成果は、従業員が生成AIを使ってみずからの働き方を改善できるようになった時にもたらされる。そのためには、ワークフローの中から解決する価値のある課題を定義し、有望な解決策を評価し、迅速に実験を行い、新たな手法を日常業務に持続可能な形で統合していくことが求められる。これらはまさに、プロダクトマネジャーの業務の中核を成す領域だ。
プロダクト思考のアプローチがなければ、従業員によるAI活用の試みは、表面的で短命に終わることが多い。最優先課題にAIをどう適用すべきかという明確な指針が欠けていると、従業員はどこから手をつければよいか苦慮してしまう。
多くの従業員は、複雑で反復的な作業やデータ量の多いプロセスを再考し、それを自動化してチームの能力とインパクトを根本的に拡大するのではなく、メールやブログ記事の簡単な下書きといった、影響力の低いその場限りの利用に終始してしまう。そして、初期の実験で摩擦が生じると、テクノロジーが期待外れであるとか、時間をかける価値がないと結論づけ、活用を完全に諦めてしまうのだ。
「部下にAIを使わせるにはどうすればよいか」と悩むマネジャーにとって、その答えは多くの場合、プロンプトのトレーニングを増やすことではなく、より優れたプロダクト思考を徹底させることだ。プロダクトマネジャーは、解決する価値のある課題を発見し、技術的な解決策を理解し、有望な解決策を実験し、実用性を突き詰めるよう訓練されている。
スタンフォード大学の研究者である筆者らが、1年半にわたって数百件のインタビューと観察を通じてグーグルにおける生成AIの導入状況を調査したところ、個人の業務においてAIの実装に成功している人々は、まさにこのスキルセットを活用していることがわかった。また、筆者らが担当するエグゼクティブ向けAIリーダーシップのクラスで、最終プロジェクトに取り組んださまざまな業界のプロフェッショナル約2000人の間でも、同様のスキルが観察された。
生成AIを採用するに当たり、すべての従業員がプロダクトマネジャーの視点を持つ必要があるならば、マネジャーはそのスキルセットを可視化し、価値を認め、存分に発揮できる環境を整える重要な役割を担う。本稿では、これらのスキルが実務においてどのような形で発揮されるのか、そしてマネジャーがそれらを育成するために何ができるかを示す。
解決すべき課題とその価値を定義する
組織が新しいテクノロジーを導入する際、通常は規定された狭い範囲のユースケースについて従業員をトレーニングし、そのツールを解決すべき特定の課題と明確に結びつける。その結果、従業員は当然のことながら、「このツールで何ができるのか」という視点で新しいテクノロジーにアプローチすることになる。
しかし、従来の多くの職場のテクノロジーとは異なり、生成AIは適用範囲が広く、急速に進化している。過度に特定されたユースケースやトレーニングでは、従業員がその真の力を引き出すことはできない。
従業員に必要なのは、生成AIが業務をサポートするために何ができるかを、みずから発見するスキルを養うことだ。プロダクトマネジャーは、ユーザーにとっての価値とは何か、つまりユーザーがどのようなニーズを持ち、どれが最も重要かを特定することから始める。これこそが、従業員が生成AIを活用する際にまずすべきことであり、時間を節約したいのか、品質を向上させたいのか、ミスを減らしたいのか、あるいは創造の幅を広げたいのかを判断しなければならない。







