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マネジャーの4人に1人が自身の役職に後ろ向き
ここ数年、ガートナーの調査は、組織がマネジメントの問題に直面していることを示唆している。たとえば、2024年4月に実施された人事部門リーダー162人を対象にした調査では、中間管理職の有効性に満足していると答えたのは35%、現場マネジャーの有効性に満足していると答えたのは27%だった。従業員も同様に満足していない。2024年7月に実施された従業員3529人を対象とする調査では、マネジャーの質に満足していると答えたのはわずか38%で、自分のマネジャーを信頼していると答えた従業員も50%強だった(以下、本稿で紹介する調査はすべてガートナーが実施したもの)。
マネジャーがきちんと結果を出せなければ、コストが膨らみ、生産性や業績、さらには職場の士気も低下する。さらに、貴重なチームメンバーが辞めていってしまうリスクも高まる。これは現在の、重要なスキルが不足したり、採用凍結が続いたりしている環境では、なおさら危険だ。
人事部門のリーダーたちは、この問題に気づいている。2025年7月の人事部門のリーダー900人を対象とする調査では、約80%が、マネジャーは責任範囲の拡大に圧倒されていると答えた。この傾向は、急速な技術進歩によって今後も続く可能性が高い。
その一方で、現在のポジションをしぶしぶ担うことにしたマネジャーの問題も、次第に明らかになってきた。2025年5月の従業員3000人を対象とした調査では、マネジャーの4人に1人が部下のマネジメントをしたくないと答えた。これは、5人に1人だった2年前の結果から増加している。
なぜ、これほど後ろ向きなのか。こうしたマネジャーの多くは、着任前にそのポジションについて、ほとんど何も知らないことが多い。事前にシミュレーションやメンター制度があった、あるいは、自分がマネジャーとして適任か否かを判断する機会があったと答えた人は3分の1以下だった。さらに、マネジャー選考過程のほとんどは、将来を見据えてというより、過去の実績に基づいて行われている。2023年3月の人事部門のリーダー98人を対象とした調査では、その79%がマネジャー選考で最も重要な要因は、「その人物が一貫して高い成績を挙げてきたこと」と答えた。「就任前の評価で高得点を獲得したこと」と答えたのは、22%に留まった。
マネジャー自身が本心でその職務を望んでいなかった場合、そのポジションに対する真のコミットメントやエンゲージメントが欠如してしまう。これは成功と失敗を分ける決定的な要因となる。2024年5月のシニアリーダーと中間管理職985人を対象にした調査では、高い熱意を持つマネジャーは、熱意が低いマネジャーと比べて、事業に大きく貢献する可能性が約4倍、その会社に留まる強い意思がある可能性が2倍以上、そして役割以上の貢献をする可能性が3倍にも上ることがわかった。
人事部門のリーダーは、現在のアプローチがうまく機能していないことに気づいている。2025年7月の人事部門のリーダー114人を対象とする調査では、自社のマネジャー選考過程は、部下マネジメントに適切な人材を配属することにつながっていると答えたのは、わずか16%だった。この数字を引き上げるためには、人事部門のリーダーは消極的なマネジャーの登用を防ぐとともに、既存の消極的マネジャーによる影響を抑える必要がある。
消極的なマネジャーの登用を防ぐ
マネジャーの4人に1人が部下のマネジメントをしたくないという調査結果を思い出してほしい。人事部門は、そのような人材が管理職に選ばれる前に発見し、管理職を受け身の経験ではなく、前向きの選択にする必要がある。
消極的なマネジャーが誕生するのを防ぐ方法の一つは、候補者に対して、管理職の最も困難な側面をあらかじめ示すことだ。これには二つの目的がある。第1に、マネジャー候補者に、これまでよりも仕事の重みや複雑性、業務のハードさが増すという現実を理解させて、不透明な部分を取り除き、心の準備をさせる。第2に、マネジャー候補者が選考過程に残るかどうかについて、十分な情報に基づく納得感のある判断を下す助けになる。
人事部門は、業務の優先順位づけや、難しい業績評価やエンゲージメントに関する話し合い、評価調整会議など、よく知られていない管理職の難しい業務について候補者にシミュレーションや経験をさせることで、これから就任するポジションに触れる機会をつくることができる。さらに一歩進めて、そのポジションに関心のある候補者と、比較的経験の浅いマネジャーをマッチングし、マネジャー選考過程全体を通じて、率直な会話やメンタリングを可能にする方法もある。2025年6月の従業員3002人を対象にした調査では、就任前にこうした経験をしたマネジャーは26%しかいなかった。







