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成功企業が進める「営業・マーケティング部門運営モデル」の再設計
企業は、AIおよび生成AIを用いたデジタル・アナリティクス・ハブや、エンタープライズCRM(顧客関係管理)システム、マーケティング・テクノロジー・プラットフォームに巨額の投資を行ってきた。なかでも、集中的に資金が投じられているのは、企業の成長や顧客との関係構築を担う営業・マーケティング部門である。
一方で、Cスイートの間に不安が広がっている。2025年のPwCの調査では、CEOの56%が、AI投資による財務的リターンを得られていないと回答した。筆者らが支援している経営幹部からも、同様の懸念が聞こえてくる。デジタル分野の潜在力に対する信頼は変わらず高いものの、営業・マーケティング部門はその期待を具体的な事業成果へと転換することに苦戦している。
2026年にZSが米国の製薬企業のチーフ・デジタル・アンド・インフォメーション・オフィサー(CDIO)を対象に行った調査でも、営業・マーケティング部門でのAI活用によって測定可能な価値が生まれていると答えた人は半数以下で、彼らは解消しづらい障壁として、データの分断、責任の所在の不明瞭さ、変革を定着させるマネジメントの不足を挙げた。さらに、ZSのCIOアドバイザリー・カウンシルのリーダーたちは、CRM変革への大規模な投資が売上げの増加に結びつきにくいとも話している。
経営幹部が繰り返し語るのは、デジタル施策が期待したほどの成果を挙げていないという点だ。実行面での改善は見られても、戦略の改善にはつながっていない、効率性は高まっても、より付加価値の高い業務に振り向ける余力が生み出されたわけではない、導入は進んでいるが、ビジネスへのインパクトは限定的なものに留まっている、ばらばらに開発されたソリューションが既存のワークフローにフィットしていない──。最新のシステムを導入しているにもかかわらず、企業は期待した効果のごく一部しか得られていない。
デジタル技術を価値に転換できている企業は、デジタルを単なる技術面のアップグレードではなく、営業・マーケティング部門の運営モデルの変革と捉えている。そして、知見の生み出し方、意思決定のあり方、実行の連携、アナリティクスの組織化という4つの側面を根本から組み替える、相互に関連した4つの転換に焦点を当てている。
1. 人間中心から分析アセットに基づくインテリジェンスへ:プロジェクト単位の分析や判断によって得られる知見から、意思決定プロセスに組み込まれた再利用可能な分析モデルによる知見へと移行する。
2. 断続的な意思決定から継続的な意思決定へ:多くの意思決定が、一定周期のサイクル(例:四半期計画)から、リアルタイムで状況を感知して行動する形に移行する。頻度の低い意思決定についても、より迅速に判断が下されるようになる。
3. サイロ化された実行から連携された実行へ:部門ごとに独立して実行する形から、営業、マーケティング、サービス部門が連携して対応する形へと移行する。
4. 分散型から集中型のアナリティクスへ:各機能が個別に保有していたソリューションやチームが、全社および地域横断で共有されるプラットフォーム、ツール、人材へと置き換わっていく。
こうした転換がデジタルの巨大な潜在力を支える基盤となり、顧客に合わせた対応を実現し、顧客への影響力と売上成長を高めることができる。







