急成長する企業と停滞する企業は、何が根本的に違うのか
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サマリー:企業の成長を分かつ要因は、市場環境や予算の多寡ではなく、リーダーシップチームの運営方法にある。世界500人以上のリーダーを調査した結果、急成長企業は共通の優先課題に対する足並みの一致、リーダーへの権限委譲、部門横断の協働が極めて高いレベルで実践されていた。対照的に、組織のサイロ化は成長を劇的に停滞させる要因となる。本稿では、収益リーダーの連携やCEOとの協力体制が成長に与える影響を詳述する。

成長企業のリーダーシップチームは何をしているのか

 成長はすべての企業の目標だが、すべての企業がその目標を達成、または維持できるわけではない。筆者らは、大きく成長する企業と停滞する企業の違いを理解するために、収益に関わる部門を担当する世界のシニアリーダー500人以上を対象に、調査を実施した。これには消費財、工業、テクノロジー、金融、ヘルスケア、そしてプロフェッショナルサービスなどの業界の上場企業、非上場企業、そして家族経営の企業の最高マーケティング責任者、最高事業責任者、最高収益責任者、最高成長責任者が含まれる。

 これらのリーダーの72%が、自分の組織は過去1年間に成長したと答えたが、急成長を遂げた(売上高が10%超増加した)組織はわずか29%だった。また、小規模な企業のほうが大企業よりも伸びが大きかった(急成長したと答えたリーダーは小企業では32%だったが、中・大企業では20%だった)。筆者らの研究によると、この違いは市場環境や予算よりも、リーダーシップチームのオペレーション方法に関係しているようだった。そして、業界、地理、所有のタイプを問わず、リーダーの足並みが揃っていて、エンパワーメントがされており、部門を超えたコラボレーションの準備ができていると、成長が加速することがわかった。サイロ化がひどくなると、成長は(場合によっては劇的に)停滞する。

収益リーダーの連携は急成長の可能性を倍増させる

 急成長を遂げる企業とそうでない企業の違いに一つのパターンがあるとすれば、それは収益部門担当リーダーの足並みが揃っているかどうかだ。調査では、マーケティング、営業、プロダクト、そして事業部門のリーダーが共通の優先課題について認識が一致していると、その組織は、そうでない組織よりも急成長を遂げる可能性が2倍高かった(39%対18%)。

 調査対象となったリーダーたちは、足並みの一致をもたらす主な要因を3つ挙げた。

・部門横断的なリーダーシップ会議(88%)
・共通のKPI(重要業績評価指標)またはOKR(目標と主要な結果)(87%)
・非公式なコラボレーションとコミュニケーション(72%)

 これとは対照的に、サイロ化した組織のリーダーは、対立する優先課題や仕事の重複、そしてスピードが遅くて自信のない決定を挙げた。

CEOが近くにいることは重要だが、あくまでコラボレーションと組み合わせた場合に限る

 収益部門のシニアリーダーの多くはCEOのすぐ下に位置するが、筆者らの調査によれば、組織図の上だけの関係性では会社の成長は保証されない。

 本当に重要なのは、収益部門のリーダーがCEOとどのように協力するかだ。主な収益部門担当リーダーの43%が、自分はCEOの真のパートナーであり、会社の方向性を決める助けになっていると答えた。このような組織は急成長を実現する可能性が高い。これとは対照的に、CEOとのやり取りがほとんど、あるいは、まったくない収益部門リーダーの42%が、自社の成長は横ばいか右肩下がりだと答えた。

 米レストランチェーン「チリーズ」(Chili’s)や「マッジャーノズ・リトルイタリー」(Maggiano’s Little Italy)を傘下に持つブリンカー・インターナショナルでは、CEOとエグゼクティブの強力な関係が急成長に対して、決定的かつ重要な役割を果たしている。CEOのケビン・ホックマンの下、同社は一貫して大きな成長を遂げてきた。チリーズは既存店売上高が業界トップの伸びを見せ、19四半期連続の成長を遂げている。

 ホックマンの経営幹部は、急成長組織に共通するいくつかの特性を持つ。たとえば、好成績をもたらしたチームを公の場で称え、部門を超えた連携の文化を強化している。また、ホックマンはオペレーションの簡素化やメニュー開発、マーケティングの刷新といった戦略的シフトを監督して、高成長企業がサイロを取り除き、リーダーが経営幹部全体に影響を与えられるようにした。

 ブリンカーの好業績は、CEOと経営幹部の協力関係と、マーケティングとオペレーションとプロダクトの足並みの揃った実行力に支えられており、強力な連携と統一された成長エンジンがトップクラスの成績を可能にすることを示している。