戦略に懐疑的な経営陣を動かす6つのアプローチ
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サマリー:戦略はしばしば議論や官僚主義を増やし、組織の強みから注意をそらすものと受け取られがちである。その背景には、CEOの自信が成功を支える一方で、環境変化への適応を遅らせる側面もある。こうした認識が、戦略への消極姿勢を生んでいる。本稿では、戦略を負担ではなく意思決定を加速させる強みとして位置づける方法を示す。

企業に戦略は不要なのか

「我が社に戦略はありません」と、あるテクノロジー企業のCEOは筆者との最初の会話で豪語した。CEOは自身とチームの面々が成し遂げたことを誇りに思っていた。「私たちは戦略なしで成功してきました。いまもまったく問題ありません。戦略をつくると気が散り、言ってみれば、試合中にボールから目を離すようなことになりかねないと思うのです」と語った。

 このCEOの考えでは、戦略とは時間を浪費する政治的な活動にほかならず、過剰な議論を生み出し、官僚主義的な要素を増やし、これまで自社を成功に導いてきた要素から組織の注意を逸らすものと思えたのだ。

 このような見方をしているのは、このCEOだけではない。筆者は30カ国の企業のCEOや最高幹部の戦略アドバイザーとして30年間活動してきた中で、同様の発言をたびたび聞かされてきた。起業家精神と直感により事業を成長させてきた創業者たちも、数値目標を達成してきた事業部門の責任者たちも、人間関係と「ノウハウ」で事業活動を円滑に進めてきた業務機能部門の責任者たちも、このようなことを述べている。

 この類いの戦略懐疑論は、不確実性の高い時代にも頭をもたげる。そのような時期には、目の前の結果を出すことに関心が集中し、「戦略」と名のつくものはことごとく、進捗に向けた道からの脱線を促すものと見なされるのだ。

 企業幹部が抱く自信についての研究に、「自分たちは問題ない」というストーリーが根強く存在している理由を知る手掛かりがある。CEOの過剰な自信は、大胆な行動や強力な成果と結びつく場合が多いのだ。しかし、時に過剰な自信が判断ミスを生み、しかも軌道修正を難しくするケースもある。状況が変化しているにもかかわらず、リーダーが既知の道筋に固執する結果だ。

 成長を遂げている企業も、不確実性の高い状況に直面している企業も、リーダーシップに関して抱えている課題は同じだ。より多くの上質な意思決定を、より迅速に、そして幹部チーム以外の人たちも下せるようになる必要があるのだ。

 幹部チームによる判断が重要でなくなるわけではない。上層部はこれまで以上に明確な判断を下し、社内のほかの人たちがそこから学び、自分でも同様の判断を下せるようにする必要がある。そうすれば、その会社は、あらゆる問題で上層部の判断を仰ぐことなく、一貫性のある行動を取れるようになる。

 もしあなたが戦略責任者や「参謀長」的な役職に就いていたり、事業部門や業務機能部門の責任者を務めていたりして、消極的なCEOや最高幹部に戦略的アプローチの採用を説得したいのであれば、戦略が集中を奪う要素ではなく、自社に強みをもたらすものであると納得させなくてはならない。

戦略が希薄化する理由

 成功している企業では、しばしば戦略が希薄化し、「方向性」といった程度の漠然としたものになり、直感やリーダー層の共有する歴史といった要素に取って代わられている。