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ビジネスと政治は切り分けられない
ビジネスと政治の境界が曖昧になってきている。顧客も政府も一般市民も、リーダーや企業の政治的姿勢を議論したり、細かくチェックしたりして、企業のあらゆる決定が公の目にさらされている。その結果、企業はブラックリストに載せられ、ボイコット(不買運動)を起こされる。売上げは減り、ブランドに傷がつく。従業員やCEOがクビになる。ビジネスと政治を混同することのリスクはとてつもなく大きいが、避けることができない。
『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)は、現在の緊迫した政治情勢をよりよく理解するために、元ボストン コンサルティング グループ(BCG)ヘンダーソン研究所チェアマンのマーティン・リーブスに話を聞いた。2022年末、リーブスは元トロント大学ロットマンスクール・オブ・マネジメント学長のロジャー L. マーティンとともに、HBRに「自社の価値観を脅かす政治リスクに対応する方法」という論文を発表した。そして、このような環境で組織が戦略を立案するためには、すべての決定に社会的リスクを織り込む必要があると論じた。それ以来、何が変わったのか。そして、どの原則は変わっていないのか。現代のビジネスリーダーに対するアドバイスはあるだろうか。
リーブスにメールで聞いた話の内容を、編集した上で、以下に紹介しよう。リーブスとマーティンの2022年の論文は、HBR’s 10 Must Reads on Strategy, Updated and Expandedの1本となっている。
──「自社の価値観を脅かす政治リスクに対応する方法」が発表されてから3年以上が経ちます。あなたはその結論部分で、「政治とビジネスの関わりはいっそう緊張をはらむものになっていくだろう」と書いています。この予測はどのくらい的中したでしょう。「今日におけるビジネス関連の事柄は、ほぼすべて政治的な性質を帯びている」というのは、いまもそうでしょうか。
残念ながら、あの予測は当たったと思います。
政治とビジネスが交差する領域は、すでに2022年の時点で緊張をはらんでいました。リーダーたちは「ビジネスを超えた」問題、たとえば社会の二極化やリプロダクティブヘルス(性や生殖に関わる権利)、ロシアのウクライナ侵攻などについて、自分の立場や対応を考える必要があり、そうした問題は増える一方です。中東での紛争の拡大、中国との対立激化、市民的自由への脅威、持続可能性に関する世界的なコンセンサスからの離脱、そしてAIが雇用にもたらす脅威などです。
社会的な論争に、慎重に言葉を選んだ声明を発表しなければならないだけではありません。こうした問題は、関税や輸出入制限、あるいはビザ(査証)発給制限による人材確保の難しさといった形で、企業に直接かつ重大な影響を与えるようになってきました。
政治は総じてビジネスの利益と足並みを揃え、ビジネス戦略における社会的・政治的要因の重みは一定で変わらないものと見なされ、ビジネスで重要なのは、製品や顧客や業績や投資家といった、狭義のビジネス上の検討事項だけだった時代は、もはや過去のものになりました。ビジネス戦略において、政治や地政学、倫理が不可避的な側面となったのです。
──現在、政治的な立場を表明した企業は、どのようなリスクに直面するのでしょう。以前と変わった部分はありますか。その一方で、政治的な立場を表明する価値があるのは、どのような場面でしょう。
数年前、社会的な問題について立場を表明すべき時に関する、CEOたちのディスカッションのファシリテーターを務めました。主に若手従業員から、さまざまな社会問題について会社が立場を表明してほしいという要求が起きていたのです。この時、最大の焦点となったのは、どの問題に立場を表明するか、です。リーダーの信条や、その問題に関連する知識、そしてビジネスとの関連性も検討しなくてはいけません。







