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オンライン検索の変化は、戦略や組織を根本的に変える
AIは、異なりながらも重なり合う2つの形でオンライン検索を再構築しつつある。いずれも消費者にとっては負担を減らすものだが、企業にとっては摩擦を増大させるものだ。
第1に、チャットGPTやマイクロソフトのコパイロットに代表される大規模言語モデル(LLM)が、消費者が答えを求める場所として検索エンジンに取って代わり始めている。人々が検索クエリを入力すると、膨大なテキストを統合した回答が提示される。その際、情報源やブランド名が選択的に引用されることもあれば、まったく引用されないこともある。第2に、グーグルのジェミニを使った「AIによる概要」がウェブサイトへのトラフィックを減少させている。こうした概要は従来の検索結果の上部に表示され、見慣れたリンクのリストよりも先にAIが生成した要約を提示する。
こうした動向は、企業がいかにして発見され、アクセスされるかというプロセスに重大な変化をもたらしている。ビジネス戦略や組織の運営のあり方に根本的な影響を及ぼすものだ。
本稿では、これらの変化のうち3つのシフトを明らかにし、企業がこの新たな探索の環境をどのように進むべきかを提案する。
シフト1:AIによる推奨が影響力を増している
企業はブランド認知度を高めるために、広告に巨額の費用を投じている。たとえばプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、パンパース、タイド、ジレットといった消費財ブランドの認知向上のため、米国でもトップクラスの年間約90億ドルを費やしている。しかし、数十年にわたる消費者調査が示すのは、人々は広告を許容してはいるものの、信頼しているのはレコメンデーションであるという事実だ。そして今日、その信頼は人間(友人、家族、販売員、インフルエンサー)から、アルゴリズム(主にLLM)へと移りつつある。
消費者が広告というプッシュ型の影響を受けにくくなり、AIのレコメンデーションというプル型の影響をより強く受けるようになっているということだ。消費者は、大手広告主によるブランド主導のメッセージに頼る代わりに、「最も効果的で安価な紙おむつのブランドはどれか」「レストラン用にはどの洗濯洗剤を推奨するか」といった質問をAIに投げかけ、データに基づいたメッセージを頼りにしているのである。
こうした消費者行動の変化を受け、多くの企業は広告費の配分方法や配分先を再考し始めている。
欧州の大手オンライン小売業者、ノードペイ(仮名)の例を見てみよう。同社は、各顧客にパーソナライズされたAI主導の商品リストを提供することで、AIレコメンデーションの流れにみずからを直接介在させている。また、ショッピング体験の向上やマーケティングのパーソナライズのために、AIシステムを用いてコンテンツ、レコメンデーション、対話をリアルタイムで生成している。競合に「後れを取らない」ために広告予算を増やすのではなく、外部エージェンシーへの支出を削り、AIを活用した社内制作へと予算を振り向けているのだ。
ある広告担当役員は、次のように説明した。「広告支出を11%削減しながら、マーケティングの成果物はむしろ増やしている。生成AIを活用して業務を内製化することで、エージェンシーへの支出を約25%カットした。また、画像制作ワークフローの多くをミッドジャーニー、ダリ、アドビのファイアフライなどのツールに置き換えたことで、約6週間かかっていたサイクルを約1週間に短縮した」
企業がすべきこと
広告予算が賢明に使われているかを見直す。あらゆるコンテンツで一貫した具体的な言葉を使用し、各種LLMツールが、その具体的なアイデアを自社ブランドと結びつけるようにする。さらによいのは、自社の名前を冠したコンセプト(「アクメ指数」「スミス・メソッド」など)を作成し、AIシステムがアイデアとブランドを関連づけるように促すことだ。そして、広告予算をAIネイティブなレコメンデーションチャネルへと振り分け、生成AIの自社運用能力を構築して、クリエイティブ制作の加速化と低コスト化を図ろう。キャンペーン単位の広告から、継続的で常に実験を繰り返す運用へとシフトする必要がある。







