MBA教育は経営センスの習得に役立つのか?答えはYESです。少なくとも、僕が教えている一橋大学大学院国際企業戦略研究科(Graduate School of International Corporate Strategy:以下「ICS」)のMBAプログラムは、スキルだけでなくセンスの習得の場になっていると確信しています。
ICSがMBAプログラムを始めたのは2000年。まだ歴史は浅いのですが、僕たちは開校当初から、アメリカの伝統的な大規模MBAプログラムはスキルの教育に偏重しているのではないか、もっと経営のセンスを磨くような場としてのMBA教育ができないか、という問題意識をもっていました。
とりわけ、日本にあるビジネススクールとして、日本と日本企業のアジアを中心としたグローバル化をリードする経営人材の輩出拠点となりたいという意志をもって、MBA教育を行ってきました。
ICSのMBAはフルタイム(全日制)のプログラムです。講義はすべて英語です。学生数は1学年60人程度と小さなスクールですが、4分の3の学生が外国人で、ファカルティ(教授陣)も日本人だけでなく、アメリカやヨーロッパ、中国と多様です。日本にありながらインターナショナルな学習環境を実現しています。
学生は20ヵ国以上の国々から集まっているのですが、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアといった「欧米」の人は10人程度で、この数年は全体の半分以上が、中国、韓国、台湾、オーストラリア、シンガポール、インド、ベトナム、マレーシア、ミャンマーといった広い意味でのアジアからの学生です。平均年齢は30歳、平均して7年程度の実務経験をもっています。35%が女性です。
「スキル」を乗り物にして、
グローバルな経営センスを磨く
こうしたプロフィールをもつMBAの学生はICSで何を勉強しているのでしょうか。カリキュラムにある講義科目をみると、Corporate Finance、Accounting、Marketing、Organizational Behavior, Leadership…といった、いわゆる「MBAで勉強する科目」が並んでいます。