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自社株買いをめぐる取締役会の誤解
自社株買いについての誤解が蔓延している。しかも、誤解しているのは投資家だけではない。企業の取締役会の間にも思い違いが広がっているのだ。
大まかに言えば、取締役会は自社株買いを「資本還元」の一種、言い換えれば配当のようなものと見なして承認する。しかし今日の自社株買いは、株主への利益還元の選択肢というより、株式型報酬(SBC)による株式発行に伴う株式希薄化を和らげるための方策になっているケースが増えている。
ところが、取締役会はしばしば、この関連性を見落としている。しかも、そのような誤解は2つの理由により、いっそう増幅されている。一つの理由は、取締役会の監査委員会が往々にして、自社が「調整済み」の成果指標を報告する際、SBCを「非キャッシュ」の「出費を伴わない」支払いと位置づけることを許容していること。もう一つの理由は、取締役会の報酬委員会がそうした「調整済み」の成果指標をもとに、さらに多くのSBCを付与することだ。この2番目の要素により、悪循環がますます進んでいる。
筆者らは、米国の株式市場に上場している会社の報酬計画と自社株買いについて研究を行った。本稿では、その研究に基づいて、取締役会がSBCの真のコストを把握し、計画を改善して、インセンティブと整合した株主価値の創造を強化するために、取締役会が実行できることを5つ提案したい。
典型的なSBCの落とし穴
まず、SBCが最終的に自社株買いに至る典型的なパターンを見ておこう。
・企業が従業員に報酬として株式を付与する(ストックオプション〔新株予約権〕、譲渡制限付き株式ユニット〔RSU〕、パフォーマンス・シェア〔業績連動型株式報酬〕など)。もしこうしたSBCを付与していなければ、その会社はキャッシュでの報酬をより多く支払っていたはずだ。
・やがて権利が確定すると、従業員は、株価が上昇すれば権利を行使して、相場より安い価格で株式を取得する。この場合、新しい株式が発行される結果、発行済み株式数が増加することになる。そうなると、既存株主の持ち株比率が希薄化する。







