取締役会はCEOへの「助言のあり方」を見直すべきだ
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サマリー:激変するビジネス環境の中で、CEOたちはかつてないほどの不確実性に直面し、孤独な決断を迫られている。彼らを支援すべき取締役会には豊富な知見があるにもかかわらず、なぜ機能不全に陥っているのか。時代遅れの「ハンコを押すだけの取締役会」から脱却し、真に経営トップを支える存在となるためには、会議のあり方を根本から見直す必要がある。不確実な時代を乗り切るため、取締役会が取るべき「3つのアプローチ」とは何か。

多くのCEOが途方に暮れている

 不確実で混乱した時代には、いつもと同じような取締役会のパターンを進化させる必要がある。ただ、ここにパラドックスがある。取締役会には、豊富なビジネス経験と知恵、そしてインサイトを持つ人が集まっているにもかかわらず、多くのCEOは途方に暮れているのだ。アリックスパートナーズ混乱指数(AlixPartners Disruption Index)調査のデータポイントを見てみよう。破壊的な力が吹き荒れる中で、優先順位の決定がますます難しくなってきたと答えたCEOは72%に上ったが、取締役会や投資家グループには、この状況に対処するのを助けてくれる適切な人材と知識が存在すると答えたCEOは10人中9人近く(87%)に達した。

 CEOが必要とする知識が取締役会にあるなら、なぜ多くのCEOは依然として途方に暮れているのか。

 その理由は、取締役会での話し合いの伝統的な仕組みと手順、そして慣習の多くが、現在のような時代に適合していないためだ。筆者は、こうした状況に役立つ実践例をいくつか見てきた。その中には、大幅な変更を伴うものもあれば、微調整で済むものもある。だが、それらを組み合わせると、取締役会の議題や議論のトーンが変わり、CEOはひどく困難な環境下でも選択肢を整理し、価値を明らかにし、創造し、高め、保護する優れた決定を下せるようになる。

 まずは、CEOたちが追加的なサポートがあれば助かると言っている事実から確認しよう。85%のCEOが、成功するためにはプライベートでも仕事でももっとサポートが必要だと回答したが、CEO以外の最高経営幹部でそのような必要性を感じているのは59%だった。無理もない。混乱の波は、CEOに最大の打撃を与える。何しろ変化のベクトルはすべてCEOに集まるのだから。社内のあらゆる機能や事業部門のニーズや要望のほか、従業員や顧客、投資家や債権者、政府や規制当局などのステークホルダーのニーズや要望もそうだ。

 どうすれば取締役は助けになれるのか。それはCEOと協力して、取締役会でよりよい質問がなされ、より有意義なディスカッションを喚起し、適切な優先事項に話を集中させるような交流を設計することだ。これは時代遅れの「ハンコを押すだけの取締役会」とは対照的である。伝統的な取締役会は、現在の業績についての報告は受けているが、実践的で深く掘り下げた会話に至ることは滅多になく、メンバーは助言を述べるに留まっている。

 そこで、取締役会の議論を、現代の絶え間ない変化に対応できるようにする3つの方法を紹介しよう。

1. 直線的な思考を避ける

 取締役会は、よりシナリオに基づいたダイナミックな計画立案と意思決定への移行を促せる。現在は不確実性が大きいため、伝統的な予測方法は難しく、その信頼性も低下している。取締役会の批判あるいは承認を受けるために作成される膨大な資料は、価値獲得の方法はわかっていて、それが比較的単純であることを前提にしているため、取締役会の議論は、計画とのずれを説明することに終始する。

 そうではなく、取締役会は戦略目標に向けた進捗とペースに注目して、その道のりが直線的ではないことを認識しなければならない。軌道修正が必要になることを想定して、軌道修正したからといって経営幹部が釈明に追われたりしないようにすべきだ。複数のシナリオを練り、それぞれのシナリオにはどのような条件が必要かを議論し、会社がいまとは異なる未来に備える方法を検討する必要がある。