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従業員の主体性はいつ高まるか
ラリー・カルプは2018年10月、ゼネラル・エレクトリック(GE)のCEOに就任した。同社の126年の歴史で初の外部招聘のトップだった。その時、カルプは、致命的にも思える危機にさらされている会社の舵取り役を引き継ぐことになった。
株価は大きく落ち込んでおり、2017年に45%、2018年にはさらに58%下落していた。債務は株式時価総額を大きく上回り、信用格付けはジャンク債レベルに向けて滑り落ちつつあった。2000年の時点では時価総額が世界最高の5940億ドルに達していた会社が、ほとんどのウォール街のアナリストに言わせれば、ゆっくりと崩壊に向かっていたのだ。
カルプは経営を立て直すために、株主への配当を減らし、電力部門で220億ドルの減損損失を計上した。しかし、それだけでなく、就任初期の戦略上の優先事項の一つとして、いささか青臭く感じられるような認識に向き合うことを掲げた。GEにとって最大の問題は事業ポートフォリオではなく、その信念にあると考えていたのだ。
GEには、言わば非難の文化が形づくられていた。そのような文化の下では、問題が隠蔽され、ミスを犯せば処罰の対象になり、問題解決もそっちのけで非難合戦が行われる。「オペレーションの有効性という面では、非難の文化より、問題解決の文化のほうがはるかに優れています」と、カルプはのちに述べている。この考え方は、最近10年間のビジネス界で指折りの目覚ましい経営再建劇の土台を成した。
いま、傘下の航空機エンジンメーカーであるGEエアロスペースは、未処理の注文を1900億ドル相当抱えるほどの業績好調ぶりで、2025年には売上高が21%増加した。カルプの契約も2027年まで延長された。
GEは、単に財務面での再生を成し遂げただけに留まらない。信念への介入が行われたのだ。筆者の著書Beyond Belief(未訳)で紹介した研究に基づき、このような介入を「高主体性リーダーシップ」という言葉で表現したい。努力することは無駄ではなく、行動を起こすことは可能であり、進歩は目に見えるという考え方につながる思考様式を意識的に選択し、そうした思考を組織に植えつけること──それが高主体性リーダーシップである。
神経科学、認知心理学、行動経済学の研究によれば、主体性は個人の性質で決まるわけではない。それは学習可能な能力であり、3つの具体的なメカニズムを通じて機能するものだという。
こうしたことが重要な意味を持つのは、経営再建の局面だけではない。チームが停滞している時はいつでも、新製品の市場投入が失敗したり、大規模な人員整理が行われたり、リーダーが交代したり、あるいは、成熟した組織の場合、経験の積み重ねにより慎重な態度がじわじわ広がり始めていたりする時、根底にある問題はたいてい同じだ。自分の努力が何かを変えると、人々が信じられなくなっているのだ。
高主体性のリーダーシップは、ホワイトボード上の戦略と、職場のエネルギーの間にギャップが存在する時に有効だ。
脳の「初期設定」を乗り越える方法
心理学者の世界では長年にわたり、マーティン・セリグマンの研究に基づき、無力感は学習されるものだと考えてきた。ところが、スティーブン F. マイヤーとセリグマンは2016年の論文で、1960年代には利用できなかった脳画像技術を用いて、この考え方を覆した。







