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成熟期に入った小売チェーンの成長戦略
米国の小売チェーンにとって、この10年は試練続きだ。新型コロナウイルスのパンデミックによって多くの店舗が閉鎖を余儀なくされ、長年利用してきた供給ルートが不安定化し、顧客の購買行動も急速に変化している。
オンラインでの売上げが占める割合は、2015年第4四半期には小売全体の売上げの7.4%だったが、2025年第3四半期には16.4%にまで拡大した。さらにここ数年、大手の小売企業(バーゲン・ハント、ビッグ・ロッツ、ザ・コンテナ・ストア、エディー・バウアー、フォーエバー21、フランチェスカズ、ジョアン・ファブリックス、パーティー・シティ、ライト・エイド、サックス・グローバルなど)が破産を申請するケースも相次いでいる。
こうした圧力が小売チェーンにどのような影響を与えてきたのか、そして、順調な企業はどうやって環境に適応してきたのか──筆者らは2016年から24年にかけて、上場済みで成熟段階にある米国の小売企業32社の財務パフォーマンスを分析した。いずれも年商10億ドル以上で、売上げの増減率はマイナス1%からプラス10%の範囲にある。また、32社のうち3社については、現職および元上級幹部へのインタビューも実施した。
小売企業は成熟するにつれて、高い売上高成長率が一桁台に鈍化する移行期に対処する必要性に迫られる。この点は、筆者らを含む多くの人が指摘してきた。一方、小売企業のライフサイクルに以下の3つの段階があるという点については、十分に認識されているとはいえない。
1)実店舗の増加が引き続き収益増加につながる段階
2)店舗ネットワークの構築はほぼ完了しているが、オンラインへの拡張によって引き続き売上げを伸ばせる段階
3)売上げを伸ばす機会が限られており、コスト削減が利益を拡大する主な手段となる段階
本稿はこの3つの段階について詳しく紹介し、それぞれの段階で対応に苦慮している多くの小売企業への教訓を提示する。
勝ち組と負け組
1つ目の図表は、2016~24年のS&P500企業の年平均リターン(12.46%)を上回った14社の小売企業の状況を、前述の3つのライフサイクルの段階別にまとめたものだ。eコマースの売上げ比率については、6社は公表している数値を使い、それ以外の8社については、業界分析、一般的な過去の傾向、あるいは公表されたコメントに基づいて推計値を算出した。当然ながら、eコマースの実績を公表している企業は、eコマース売上げ比率が最も高い傾向にある。
2つ目の図表は、これらの成功企業の数値の要約を、同じ期間でS&P500企業の年平均リターン(12.46%)を下回った不振企業と比較したものだ。その結果、成功している企業では、売上高成長率(年率4.9%)が営業費用増加率(同4.4%)を上回っていた。反対に、不振企業では売上高成長率(同3.0%)より営業費用増加率(同3.4%)のほうが大きかった。
この違いが年間の営業利益成長率に及ぼす影響は非常に大きく、成功企業が7.1%増だったのに対し、不振企業はマイナス0.9%だった。また、株価への影響はさらに大きく、成功企業の平均リターンは19.8%、不振企業はマイナス0.6%だった。







