-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
協働を増やせばイノベーションが生まれるわけではない
社内の「縦割り」の壁を打ち壊せ。社員同士のつながりを強化せよ。職場の全員を参加させろ。
こうしたことは、イノベーションを活性化させるための定番のアドバイスだ。たしかに、この類いの処方箋が好ましい結果を生む場合はある。
コロナ禍の時期にフォード・モーターとGEヘルスケアが100日以内に5万台の人工呼吸器を生産する必要に迫られた時は、部署の垣根を越えた集中的な協働がまさに正しい方策だった。このケースでは、すべての意思決定が相互依存関係にあり、すべてのインサイトが共有されて、すべての問題が協働によって解決された。
しかし、異なる局面で同様のアプローチを採用すれば、イノベーションが達成されないばかりか、イノベーションの発生そのものを体系的に阻害することになる。
米国航空宇宙局(NASA)が危険な太陽粒子現象を予測する必要に迫られた時、画期的な成果は、旧来型のコラボレーションからは生まれなかった。目覚ましい成果をもたらしたのは、オープンイノベーションのコンペだった。ニューハンプシャー州の田舎町で半分引退生活を送っていたエンジニアのブルース・クラギンがたった一人で、問題解決への道筋を探究し、NASAのチームには思いもよらないアイデアを提案したのだ。
この2つのケースでは、いずれも重要課題を解決するために、正反対のアプローチを採用し、どちらも成功した。しかし、これはパラドックスではない。
筆者らが集合的イノベーションをテーマにした294件の実証研究を分析したところ、人々を結びつけて協働させるというアプローチが一貫してイノベーションの成功をもたらすわけではないとわかった。
極めて好ましい結果を生む場合もあれば、好ましくない結果になる場合もあったし、成果にまったく影響を及ぼさないケースも見られた。また、人々の結びつきの度合いとイノベーションの成否の間に、直線的な関係が見られない場合もあった。中程度の結びつきは有効だが、高いレベルの結びつきは悪影響を生むケースもあるのだ。
このようにコラボレーションの効果がまちまちなのは、イノベーションに関するアドバイスでしばしば見落とされている要素が原因だ。その要素とは、イノベーションに取り組む集合体の構造だ。どのような状況でイノベーションが実現するかを左右するのは、集合体がどのように構成されていて、メンバーがどのように関わり合い、メンバーの目標がどれくらい一致しているかだ。
集合体の類型
集合的イノベーションのマネジメントは、ほとんどのリーダーが問わない問いを発することから始まる。集合体の性格はどのようなものか、という問いだ。







