リーダーは強みを伸ばすべきか、弱点を克服すべきか
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サマリー:成長したいならば、強みを伸ばすべきか、それとも弱点を克服すべきか。リーダーであれば、誰もが直面するこの課題に対しては、どちらか一方を選ぶのではなく、状況に応じた見極めが重要である。本稿では、リーダーが自身の置かれた状況を正しく診断し、キャリアを加速させるための4つの問いと実践的なフレームワークを紹介する。

本気で成長したいリーダーが必ず直面する問い

 より効果的なリーダーになるためには、強みを伸ばすべきか、それとも弱点を克服すべきか。

 自分の成長を本気で加速させたい人は、誰でもこの疑問に直面する。その答え次第で、新しい役割で成功するか、重要な転機で挫折するか、ポテンシャルがあるのに頭打ちになるかが決まる。それにもかかわらず、ほとんどのリーダーは、この選択をするための体系的なアプローチを持っていない。明確な診断基準がなければ、直感に従うか、最も緊急性を感じるフィードバックに対応するかのどちらかになる。どちらの方法も、常に最大限の成長を可能にするものではない。

 得意分野を意識的に伸ばすリーダーのほうが、より大きな勢いとエンゲージメントを生み出すと主張する専門家もいれば、弱点はチームやキャリアにダメージを及ぼすおそれがあるため、弱点に対処するほうが重要だと主張する専門家もいる。筆者らが勧めるのは、どちらかを選ぶことではなく、4つの問いを使って、自分特有の状況で何が必要かを診断することである。自身の並外れた能力、ネックとなる弱み、そして未開拓の潜在能力を見極めたうえで、行動を起こすことである。

自己診断を行うための4つの問い

 どこに時間とエネルギーを集中的に使うかを決める前に、以下の質問について検討しよう。

1. いまの役割で成功するには何が必要か

 仕事の遂行に必要な能力を明確にする。それらは下回ってはならない最低限の基準となる要件である。職務要件は、レベルや部署によって大きく異なる。第一線の監督者には、実行力とチーム管理能力が必要であり、事業部長には、戦略的思考、ステークホルダー管理、そして情報が揃っていない中で意思決定を行う能力が必要だ。最高技術責任者(CTO)には、技術に関する信頼性と、技術戦略を非技術系の経営陣にわかりやすく伝える能力の両方が求められる。

 自身の視点だけでなく、上司が何を重視しているかを探る。この2つの違いに気づくことで明らかになることもある。自分が軽視していた能力を上司が重んじていたり、悩みの種だったことがどうでもよいことだったりする可能性がある。

2. いまの自分にはどのような能力があるか

 職務要件に照らして、自分の強みと弱みを正確に洗い出す。これは口で言うほど簡単ではない。自身の主要な強みを見つけるのに苦労するリーダーは多い。自分にとって簡単なことは平凡に感じられるからだ。多様なステークホルダーと信頼を築けることを、単に「人付き合いが上手い」としか思っていないリーダーもいるし、複雑な情報を素早く統合できることが並外れた能力だと気づかないリーダーもいる。

 昇進するにつれ、それはさらに難しくなる。上級リーダーが受け取るフィードバックには、しばしばフィルターがかかっている。部下は弱点を指摘することをためらう。同僚は面倒な会話を避ける。自分が知っていないことにすら気づいていない「無意識的無能」は、その盲点がチーム全体に影響を及ぼす可能性があるため、特に危険だ。したがって、率直に意見を述べてくれる人々に、積極的にフィルターのかかっていない意見を求めよう。フィードバック体制の構築、外部コーチ、あるいは上下関係にない信頼できる同僚の力を借りることを検討する。

3. 他で補えるものは何か

 どの弱点なら、チーム構成、提携、サポート体制などを通じて対処できるかを見極める。すべての欠点を克服する必要はない。業務スキルは人に委ねられる場合が多い。認知スタイルの違いは互いに補完し合える。職能の不足は採用によって埋められる。先見の明はあるが業務の詳細を追うのが苦手なリーダーは、実行力に長けたCOOと連携すると助かるだろうし、技術的な能力は高いがステークホルダー管理に苦慮する幹部は、関係者間の調整を担当するチーフ・オブ・スタッフ(CoS)と組むとよいだろう。しかし、自身の直接的な対応が必要な弱点もある。

4. 未開拓の潜在能力はどこにあるか

 まだ磨いていないか、気づいていない能力を見つける。これは弱点を直すこととは根本的に異なり、改善ではなく探求することだ。未開拓の潜在能力とは、これまで既存の強みを効果的に活かしてきたために、探求してこなかった機会のことを指す。優れた分析的思考によって成功したリーダーは、ストーリーテリングで人を鼓舞する力もあることに気づいていないかもしれない。卓越した実行力を基盤にキャリアを築いてきた人は、戦略的なビジョンの構築には踏み込んでいないかもしれない。これは、これまで必要とされなかったスキルが求められるキャリア移行期において、特に重要になる。

自己開発の3つのカテゴリー

 自己分析を終えたら、3つのカテゴリーに焦点を定める。残りはたいてい、何とかなるか、補えるか、優先順位を下げられる。

並外れた能力

 これらは、他の人とは一線を画す自身の卓越した強みであり、一貫して精力的な働きを見せ、上位25%のパフォーマンスを発揮し、ビジネス上の具体的な成果を挙げ、他者が容易に真似できないものを提供できる領域である。これらの能力は、わずかな投資でも、ゼロから構築するのとは異なり、すでに卓越した基盤があるため、大幅な向上につながることが多い。したがって、もう一押しすべきだ。より頻繁に、そしてより影響力の大きい状況で活かす方法を見つける。

ネックとなる弱み

 これらは、適切な管理ができていない弱点であり、チームや他者に悪影響を及ぼし、パターンとして認識されるほど頻繁に発生し、チーム構成や支援体制では補えず、信頼、心理的安全性、人間関係、チームワークを損ない、自身の現在および将来の成功を脅かすものである。これらの弱点への対処は、他の何よりも優先されなければならない。

未開拓の潜在能力

 高業績を上げるリーダーの多くは、現在の強みが十分に機能していたり、欠点を修正することに忙しすぎて、特定の能力を探求したことがない。しかし、特に会社が新たな能力を要する方向にシフトしている場合や、自分がこれまで必要とされなかったスキルを必要とする仕事に変わる場合、あるいは隣接する強みを持っている場合には、その隠れた能力を見つけ、伸ばそうと考えることも重要だ。

焦点を絞るための状況要因

 並外れた能力のさらなる開発、ネックとなる弱みの克服、未開拓の潜在能力の探求の間で、どのように時間を配分するかは、通常以下の3つの要因によって決まる。

職務要件

 以下を自問する。どこに自分の強みを使えば、この仕事で卓越した成果を挙げられるか。最低基準に達していない領域はどこか。自分とチームのパフォーマンスを高めるために、他に何ができるか。目に見える成果を出すには何が必要か。

キャリアステージ

 キャリアの初期から中期においては、主に主要な強みを強化することで、成功を続け、昇進していける。より上級の役職に就くにつれて、以前は許容されていた弱点に対処しなければならなくなる。たとえば、担当副社長からCのつく役職(CxO)へ昇進する場合、実行力に定評がある人でも、経営戦略を避けて通ることはできない。

仕事の変化

 キャリアの移行におけるタイミングも極めて重要だ。新しい仕事に馴染む段階では、既存の強みを活かして信頼を築き、未開拓の潜在能力を見つけることに注力すべきだ。地位を確立できたら、強みと重大なネックとなる弱みの両方に注意を向ける。改善を迫られている場合は、深刻な問題に直接対処する。多くのリーダーは、自己開発の優先事項に取り組むのが遅すぎる。

行動を起こす

「強みを磨くべきか、弱点を克服すべきか」という議論に対する答えは、いつ何が必要かを判断することにある。その判断は4項目の問診から始まる。続いて「並外れた能力」「ネックとなる弱み」「未開拓の潜在能力」という3つのカテゴリーに絞り、集中的に取り組む。これらの優先事項のバランスをどう取るかは、状況によって決まる。このフレームワークを習得して、キャリアを加速的に進展させてほしい。


"Should You Develop Your Leadership Strengths - or Fix Your Weaknesses?" HBR.org, April 15, 2026.