AIエージェントはどのようにプラットフォームの収益源を奪うのか
Illustration by Gabriel Masel
サマリー:AIエージェントの台頭により、プラットフォームのビジネスモデルが崩壊の危機に瀕している。AIが人間の代わりに意思決定や購入を行う世界では、従来の広告、取引手数料、サブスクリプションといった主要な収益源が機能しなくなるためだ。本稿では、AIがプラットフォームの収益源を奪う脅威について検証し、新たなエコシステムへの構造転換について論じる。

人々が意思決定をAIエージェントに委ね始めている

 膨大な量のオンライン活動と、中央集権的なデジタルサービスの利便性によって、時とともに私たちの社会はプラットフォームに依存するようになった。その過程で市場と労働のあり方が形づくられると同時に、私たちの時間と日常活動の多くがますますプラットフォームに占有されるようになった。消費者は、検索にはグーグル、コミュニケーションにはワッツアップ、娯楽にはユーチューブ、社会的つながりにはインスタグラム、商取引にはアマゾンといったサービスに極度に依存している。

 プラットフォームはこれらのインタラクションを、巨大な収益装置に変えた。ユーザーの関心、データ、オンラインでのエンゲージメントはデジタル時代の通貨と化した。2024年にアマゾン・ドットコムの広告事業は単体で売上高560億ドルに達し、前年比で18%増え、同社で最も成長が速く、かつ最も収益性の高い部門となっている。世界広告研究センターは、この数字が2026年までに790億ドルを超える可能性があると見込んでいる。

 だが、ここに落とし穴がある。その収益はほぼすべて、人間の目がスポンサー商品と広告を見ること、そして人々が頻繁に利用するプラットフォームで見つけた情報に基づいて意思決定を行うことに依存している。しかし、これらが確実に行われるという前提は、もはや成り立たなくなっている。

 なぜなら、(プラットフォームや検索エンジンのように)単に意思決定を助けるデータのみを提示するのではなく、ユーザーに代わって選択を行うパーソナルAIエージェントに、人々はますます頼るようになっているからだ。

 AIエージェントは感情的ではなく合理的だ。広告を見ず、衝動買いもしない。エコシステムにロックイン(囲い込み)されることもない。機械が人間に代わって購入判断を行うようになれば、広告のクリック、取引手数料、サブスクリプション、サードパーティ事業者に課すサービス料といった、プラットフォームが依存するあらゆる収益源が脅かされる。

 本稿ではAIの脅威の本質を検証し、巨大デジタルプラットフォームの収益源がAIエージェントによって奪い取られるだけでなく、プラットフォームが競争優位の基盤としてきたデータが、AIエージェントによって意義を失うことについて論じていく。自社のウェブサイト上のユーザー行動をもとに嗜好を予測するプラットフォームの能力は、ユーザーのあらゆるインタラクションにアクセスして意図を理解するAIの能力に、取って代わられることになる。

 最初に、AIがプラットフォームの収益源にどう影響を及ぼすのかを見ていこう。

収益の減少

 これまでプラットフォームの収益源は、広告、取引手数料、サブスクリプション、およびクラウドコンピューティングや物流、決済といったエコシステムの付帯サービスだった。ユーザーが検索、選択、実行をAIエージェントに委ねるようになると、これらの収益が依存するインタラクションの接点が浸食され、価値獲得の主導権はプラットフォームからユーザー側に戻っていく。

広告収益

 プラットフォームの最も重要な収益源は、依然として広告である。2024年に広告はグーグルの売上高の約75%、メタ・プラットフォームズの売上高の97%を占め、前述の通りアマゾンでも最も収益性の高い部門だった。消費者にとっての最適な選択肢を見つける役割を担ってきた個々のプラットフォームのインターフェース(ウェブサイト、アプリ、検索エンジン)からの構造的移行が進むにつれて、プラットフォームは、ユーザーデータに基づくターゲット広告枠の販売を通じて人々の関心を収益化する能力を失う。

 代わりに、ユーザーはAIエージェントに頼るようになる。AIエージェントはユーザーをより包括的に理解し、情報を直接消費し、自律的に選択肢を検討し、主体的に推奨したり、ユーザーに代わって自律的に行動したりする。数限りない選択肢の中を進むことで生じるユーザーの認知的負担をなくすだけでなく、広告主導型プラットフォームのインセンティブをも消し去る。AIエージェントはもはや広告を「見る」ことも、クリックすることもないため、プラットフォームは関心を収益化する能力を失う。