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イーロン・マスクの発言はテスラにどのような影響を与えたのか
この数年間、テスラCEOのイーロン・マスクは歯に衣着せぬ発言で政治的な存在感を増している。そして専門家たちは、彼のアクティビズム(社会的・政治的問題に対して発言し、行動を起こすこと)が同社のブランドを傷つけているのか、それとも強化しているのかを議論してきた。同社を、リベラルで気候変動対策を重視する先進的な企業と見ていた左派寄りの顧客を遠ざけたと指摘する人もいる。一方で、マスクの立ち位置が、以前は電気自動車(EV)を自分たちの文化に合わないと感じていた右派寄りの顧客を惹きつけていると指摘する人もいる。
アップルのティム・クックやセールスフォースのマーク・ベニオフなど、CEOの政治的な発言や活動が活発化するにつれ、どの業界の企業も似たようなジレンマに直面している。リーダーの姿勢が政治的な二極化を招く時、ブランドへの影響はどのように測定できるだろうか、また今後どのような対応を取るのが最善なのだろうか。
テスラの場合、まず思い浮かぶのは2つの道筋だ。マスクが政治的な方向性を逆転させて、左派寄りの消費者を取り戻そうとするか、あるいは新たに右派寄りの消費者を開拓するほうに賭けるか。どちらに進んでもリスクはある。前者は市場を混乱させ、信頼を取り戻せないかもしれない。後者は、政治的な同調によって新たな需要を促進できるという前提が根底にある。だが、この見方は必ずしも十分ではないかもしれない。政治的な二極化は、単に需要を減退させるだけではなく、消費者が何を重視するかを変えているのではないだろうか。
企業がこの状況を慎重に評価して次のステップを考えるためには、消費者のセンチメントやブランドに対する認識を評価するだけではなく、それらを文脈の中で理解して定量化する体系的な手法が必要だ。さらに、ブランドは消費者の購入行動に影響を与える数ある要素の一つにすぎないので、製品の他の側面についても調査することが欠かせない。
筆者らはこの問題を調査するため、米国の自動車購入者を対象に、実際の購入決定をシミュレーションして、参加者にブランド、価格、製品属性の間でどのようなトレードオフをするかを尋ねる大規模な研究を行った。本稿執筆者の一人であるハーバード・ビジネス・スクール教授のエリー・オフェクは、ブランドエクイティとイノベーション戦略の関係を研究している。ブランドとイノベーションのマネジメントについて多くのケーススタディを執筆する傍ら、本稿で紹介されているような研究も実施してきた。もう一人の執筆者であるブライアン K. オームはソートゥースソフトウェアのCEOである。同社は、企業が自社の顧客の重視することを理解し、顧客が何を購入するかを予測するのに役立つ、高度な市場調査手法を専門としている。
影響を各要素に分解する
筆者らは政治的な注目と製品属性との間の相互作用を特定するため、2025年11月、全米を代表する消費者パネル(市場調査テクノロジー企業ピュアスペクトラムの提供)を対象として、選択型コンジョイント分析を実施した。標準的なアンケートのように、購入を検討しているブランドや好きなブランドを質問するのではなく、コンジョイント分析では購入体験のシミュレーションをする。価格や製品属性を変えながら、現実と同じような選択肢を回答者に示し、その中から購入する可能性が高いものを選んでもらう。
回答者には、以下の要素を変化させながら、選択肢を提供した。各選択肢は、現在の米国のEV商品ラインナップを反映するように微調整されている
・ブランド(テスラ、フォード、シボレー、リヴィアン、トヨタ)
・ボディタイプ(SUV、セダン、トラック)
・航続距離(フル充電でのマイル数:150、250、350、450、550)







