AIをチームの一員として会議に組み込む3つの実践
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サマリー:会議におけるAI活用は、今後ますます拡大すると見込まれている。しかし、適切な準備なしに導入すると、議論の分断や主体性の喪失といった落とし穴に陥るリスクがある。この課題を克服し、高い協働効果を生み出すには「人間とAIのチームケミストリー」の構築が不可欠である。本稿では、AIとの協働で質の高い成果を挙げるチームの特徴と、落とし穴を回避する3つの実践的な取り組みを紹介する。

AIとの協働で質の高い成果を挙げるチームの特徴

 キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートが世界の経営幹部500人を対象に実施した調査によれば、チーム会議でAIを積極的に活用するケースは、今後3年間で3倍以上に増えると予想される。回答した経営幹部らは、チーム全体でAIを活用することによって会議の質が高まり、より質の高い成果が得られるとの期待を示した。

 ただし、こうした楽観論を信じて、課題が曖昧になる事態は回避すべきだ。筆者らの研究によれば、AIのチームへの統合は自然に進むものではない。適切な準備を行わない状態で会議にAIを導入すれば、一部の人しか参加しなくなったり、議論が分断されたり、チームの主体性が損なわれたりするおそれがある。

 幸い、こうした落とし穴を回避する手段は存在する。筆者らが「人間とAIのチームケミストリー」と呼ぶアプローチである。AIを組織に深く組み込んでいく過程で、この新たな能力を構築するためには、以下の3つの取り組みが有益だ。

1. チームとしてAIと関わる。参加者が自己紹介を行ったうえで、AIを集団の対話に参加させる。これにより、AIはさまざまな専門性を有する参加者について考慮しながら、グループ全体に向かって対話するようになる。

2. AIの役割の流動性を活用する。AIを単なる議事録の作成者としてではなく、多様な役割を担えるチームメンバーとして活用すべきだ。ステークホルダーの代表、異論を唱える役割、顧客、競合相手など、AIの役割を意図的に切り替えることで、チームとして豊かな議論を展開できる。

3. AIとのやり取りに関する主導権をチーム全体で持ち続ける。チームメンバーがプロンプトの作成をチーム全体の共同作業と見なし、別の方向性について議論したり、会議中に随時立ち止まってAIの出力について評価することが大切だ。そうすることで、AIとのやり取りが思考のアウトソーシングではなく、思考を前進させる手段となる。

 これらの提言の基盤となった実験は、多様な業界の12社からマネジャー60人が参加し、5カ月にわたって実施された。企業ごとに、生成AIを個人的に利用した経験のあるマネジャー3~4人でチームを編成し、各チームは他社と同程度の規模と複雑さを持つ戦略的な事業課題について、プラットフォーム型のソリューションを設計するよう求められた。一貫性を確保するために、どのチームも同じ手法(筆者らのうち、トラブッキとブガンザの2人が開発に携わった)に従い、オープンAIのチャットGPTモデルを使用した。各チームとも、対面で5回集まり、共同作業時間は計30時間に及んだ。

 チームのAI活用の実態と、そのプロセスでの経験を理解するために、筆者らは3つの補完的な手法を用いた。まず、チームとAIのやり取りをリアルタイムで観察し、次に各セッションの完全なチャット記録を分析した。さらに、セッション後のアンケートを収集して、参加者からのフィードバックを把握した。この組み合わせによって、チームが何を生み出したかだけでなく、どのように協働したのか、チームとAIの協働がどこで機能し、どこでつまずいたのかも把握することができた。

 この調査に基づき、筆者らはこれら3つの取り組みを実践するチームほど質の高い成果を挙げ、AI利用に伴う典型的な落とし穴に陥るリスクを減らせると確信している。

第1セッション:出だしでつまずき、ポテンシャルを活かせない段階

 第1セッションでは、AIをチームに組み込むという発想を参加者全員が興味深く新鮮なものだと感じていたが、その高揚感はすぐに──多くの場合、開始から1時間以内に──失われた。チーム内の会話が少なくなり、受け身の姿勢が強まり、参加者はAIが生成する回答が表示される画面を見つめるだけになっていった。AIが会話を主導する一方、チームは徐々に存在感を失っていった。

 第1セッション終了後のアンケート結果も、そうした観察を裏づけるものだった。AI利用の効果は限定的で、全体的な参加意欲も低いという回答だった。予想とは正反対の結果に、筆者らは困惑した。AIは協働を促進するどころか、少なくとも当初は、協働の足を引っ張っているように見えた。

個人とのチャットモードに陥る

 チャット記録を詳しく振り返ると、その原因が明らかになった。筆者らの一人は「これがチームのチャットだと知らなければ、誰か一人がAIとやり取りしているだけだと思っただろう」と指摘した。