エジソンとフォードに着想の原点を求める

 2000年当時、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、ファブリック・アンド・ハウスホールド・ケア部門最大のブランド、洗濯用洗剤〈タイド〉の将来性に限界を感じていた。同ブランドには50年以上の歴史があり、依然として市場の中核を支配していたが、P&Gの必要とする速度での成長とは言いがたかった。

 それから10年が経ち、〈タイド〉の売上げはほぼ倍増、同部門の年間売上げを120億ドルから約240億ドルにまで押し上げた。〈タイド〉ブランドは現在、新興国市場で急成長を遂げている。弓矢の「標的」をモチーフにしたロゴは、衣料用スプレーから町のドライ・クリーニング店まで、さまざまな新製品や新規事業で利用されている。

 これは偶然の産物ではない。P&Gがイノベーションと成長を体系化すべく過去10年の間に行った戦略的な取り組みの賜物である。