重要顧客を代理店に任せっ放しにしてはならない

 最後に、顧客の問題についてちょっと触れておきます。これは、顧客そのものの問題でではなく、代理店に任せている、自社の顧客に対する姿勢に問題があるのです。

 質問者のケースでは、顧客数はどれぐらいあるのでしょうか? どのような部品を製造しているかが不明ですが、ここでは数千社の顧客がいると仮定して、直販3割ですから相当な顧客数になります。

 あるメーカーの営業本部長に、かつて同じような質問をしたことがあります。その時、本部長は、代理店と直販の顧客総数は約5000社と教えてくれました。直販比率が約10%です。そこで、「顧客企業がどのような会社で、どのような製品を求めているかについて、きちんと把握しているのは5000社のうちどれぐらいあるのですか?」と尋ねました。その答えは、驚くことに5~6%だったのです。

 代理店販売を採用するのは、自社の営業だけで全顧客をフォローできないし、できたとしてもコストがかさむからです。自社営業の生産性(効率性)を考えれば当然のことですが、それは、顧客には関係のない「自社の都合」です。したがって、代理店販売は、顧客のことを知らなければ正当化できないということを肝に銘じてください。

 だからこそ、顧客(特に重要顧客)を代理店だけに任せておくわけにはいかないのです。顧客の要望や満たされないニーズを知らなければ市場を見失い、どのような製品を開発すればよいかがわからなくなります。その結末は、製品競争力の低下です。

 代理店の売上げが伸びない原因は、代理店の問題に限りません。他の要素も同時に考えることが重要なのです。


◆代理店販売強化のポイント◆

1.自社にとっての「重要度」と代理店自体の「魅力度」で代理店を評価する。
2.営業担当者の各代理店への貢献度、成果を精査する。
3.顧客のことを知らなければ、代理店販売を正当化できないと肝に銘じる。

◆具体的なアクション◆
1.「重要度」と「魅力度」で代理店をグループ分類する。
2.分類した代理店にヒアリングし、問題とその原因を明らかにする。
3.自社の営業担当者の代理店販売成績は、平均値でなく、個別の数値で評価し、なぜそのような数値になったのかも理解する。