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次世代のデジタル価値はどこで生み出されるのか
デジタル化は、この25年間を語るうえで欠かせない大きな潮流だ。そしていま、今後の進路を見定めようとするリーダーの眼前に差し迫った問いが待ち受けている──米中のテクノロジーの覇権争いは市場をどう変えていくのか、デジタルアクセスの格差は需要を抑制する要因なのか、それとも成長のチャンスなのか、前例のない規模のAI投資や最先端AIラボによる大型IPOは実を結ぶのか、それともバブル崩壊につながるのか、AIブームによって格差が拡大し、権力の一極集中が進むのか、それとも新興企業のキャッチアップ・コストが引き下げられるのか。
現時点でどのような賭けに出るかによって、次世代のデジタル価値がどこで生み出され、誰がその価値を獲得するのか、そして企業がグローバル市場にどう関わっていくのかが左右される。
2026年版「デジタル・エボリューション・インデックス」は、デジタル経済の変化を世界規模で捉えた研究で、タフツ大学フレッチャースクールの研究センターであるデジタル・プラネットと、データセキュリティやデジタル・アイデンティティ(ID)、デジタル決済、AIなどの分野で事業展開するヴィア・サイエンス(VIA)が共同で実施したものだ。筆者らは2015年以来、この取り組みについて『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)で報告してきた。
今年の調査結果の分析から浮かび上がったのは、デジタル経済の動向が通常の市場原理や技術革新だけでなく、米中間の競争や地政学的変化、AIの計算能力といった要因にも大きく影響されているということだ。
デジタル化が始まった当初は、共通の規格やプラットフォーム、テクノロジーによって国やサプライチェーン、市場が結びつけられていた。一方、今回の調査結果は、不都合な真実の台頭を示している。それは、単一の「グローバル・デジタル経済」が揺らぎつつあるという現実である。
戦略を立てるべき舞台は、デジタル化の進展度や規制、デジタル化の勢いによって異なる。リーダーは、自社にとっての機会がどこにあるのか、どこで選択肢を確保すべきか、急速な技術革新と不安定な地政学、揺らぐ信頼にどう対応すべきかを見極める力を磨かなければならない。
本稿では、2026年版「デジタル・エボリューション・インデックス」の報告書をもとに、主な調査結果と、そこからビジネスリーダーにもたらされる示唆を述べる。
デジタル・エボリューション・インデックス:デジタル化の進展度と勢い
デジタル・エボリューション・インデックスでは125カ国を対象に、デジタル経済の発展状況を評価している。「供給面の状況」「需要面の状況」「制度的環境」「イノベーションと変化」の4つの主要領域について、185の指標を用いて分析を行った。なお、デジタル化の「勢い」は、2008~2025年のデジタル・エボリューション・スコアの年平均成長率によって、その進展ペースを測定した指標である。
この結果に基づき、各国は以下の4つのカテゴリーに分類されている。
・傑出:デジタル化の進展度が高く、勢いもある国
・停滞:デジタル化の進展度は高いが、勢いが鈍化している国
・勃興:デジタル化の進展度は低いが、勢いがある国
・要注意:デジタル化の進展度が低く、勢いも弱い国
このマトリックスによって、デジタル化が進んでいる国の中でも、いまなお加速を続けている国と、成熟段階に達して勢いが鈍化している国を区別できる。また、先行国へのキャッチアップが期待される国と、深刻な構造的制約が残っている国を区別することも可能となる(調査手法とデータの全文はこちらを参照)。








