URの財務状況

 まず、直近の財務諸表によってURの財務状況を確認しておこう。時期的に、まだ平成23年度決算が出ていないので、平成22年度決算を使う。財務状況の概況は、図のとおりである。

 まず、誰もが驚くのはその規模だろう。総資産14.9兆円というのは、業種は違うものの、ほぼ東京電力の総資産規模に匹敵する。同じ不動産業界でいえば、三菱地所の総資産4.2兆円の約3.5倍、三井不動産の総資産3.8兆円の約3.9倍の規模である。かりに分割されないで民営化されれば、業界のガリバーとなることは間違いない。

 そして、不動産賃貸企業は、銀行やリース会社と同様、「貸しているところ」である。それは、大きなバランスシートと小さな売上(営業収益または経常収益)で特徴付けられる。普通の会社でいえば、営業利益にあたる利回り相当(金利収入や家賃収入)の部分が営業収益になるからである(図1のバランスシートと損益状況は縮尺が違うことに注意)。一般に「貸しているところ」は、「貸しているモノ」が資産のほとんどを占める。URも、賃貸住宅が11.7兆円と、総資産の8割弱を占める。