成果主義マネジメントを成功させる3つのポイント
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サマリー:コロナ禍以降、従業員のエンゲージメントを最優先する「ピープルファースト」が主流となったが、管理職の負担増と実行力の低下という限界を迎えている。そこで浮上したのが、共感を維持しつつも「成果」を中心に据える成果主義マネジメントだ。不確実性の高まる現代、管理職がチームを守るだけの存在から、卓越した成果を支援する存在へと転換するには何が必要か。本稿では、その具体的な実践プロセスと成功要件を論じる。

コロナ禍で始まった「ピープルファースト・マネジメント」

 2020年3月に始まった新型コロナの流行をきっかけに、私たちの働き方は、前例のない規模とスピードで衝撃的なまでに変わった。一夜にしてキッチンがオフィスになり、会議がリビングルームへと場所を移した。それまで存在していた仕事と生活の境界線は薄れ、経済的混乱の中でも生産性を保とうと努力する傍らで、食料品を消毒し、子どものオンライン授業も見守らなければならない状況が生まれた。

 さらに1年後には、いわゆる「大離職時代」が始まった。コロナ禍以前の水準と比べ、自発的な離職が米国で約30%増加したと米国労働統計局のデータが示している。

 これに対して、CEOたちは従業員のエンゲージメントと定着を最優先課題に引き上げ、激しい人材獲得競争に対応するために、報酬の予算をかつてない規模で増額した。一方、CHRO(最高人事責任者)は、従業員が当然視するようになった福利厚生やワークライフバランスに対応するため、従業員に提供する価値を明文化した従業員価値提案(EVP)を大幅に書き換えた。

 危機対応として始まったこの動きは、今日の主要なマネジメントパラダイムである「ピープルファースト(人中心の)マネジメント」の基礎を築いた。共感的なリーダーシップやピープルファーストの原則の学習を経て、ガートナーの調査によれば、管理職の3分の2が、組織を回し続けるプロジェクトやプロセスではなく、人を管理することを自分の第一の役割だと捉えていた。2025年12月に従業員および管理職2947人を対象に実施したガートナーの調査は、その考え方の浸透ぶりを明確に示している。

・62%の管理職が、チームメンバーを守る義務があると感じていると回答

・45%の管理職が、ビジネスを犠牲にしても従業員を優先する決定を行っていると回答

・管理職は平均して9時間(勤務時間の20%以上に相当)を、従業員の個人的・精神的ストレスを聞き取り、解消する努力に費やしている

新たなマクロ経済的な要請

 ところが、人を中心に置くアプローチの要因となった力は、複数の新たな圧力に負け、いまや別のマネジメントアプローチが求められている。今日の経営者は、複雑で脆弱な現実に直面している。長引く経済の不確実性、急速に進むAI統合、そして不安定さを増す地政学的状況である。こうした背景の下、従業員のエンゲージメントや定着に代わって、パフォーマンスや生産性がCEOの最優先課題となったのだ。

 ビジネスの優先順位が変化すれば、マネジメントもそれに応じて変わる必要がある。これは共感を捨てるということではなく、時代の要請に整合する形で、共感をマネジメントの枠組みに組み込み直し、再定義するということである。

 パフォーマンスファースト・マネジメント(成果主義)とは、管理職が「人の管理」を第一の役割としていたアプローチを離れ、チームが複雑で変化し続ける現実の中でも大きなインパクトを持つ成果を出せる体制を整えることへと、穏やかにシフトすることだ。人を中心に据えることは変わらないが、管理職の役割を単に従業員満足を支えることから、従業員が成果を出せるように支えることへ方向転換する。柔軟な働き方やケアも依然として重要だが、それ自体は成果ではなく、成果を達成するための手段となる。