環境変化の中で重要性を増す
リーダーシップ
いま、多くのトップが次世代の経営者に求める資質の2つ目が、このリーダーシップである。不透明な環境の中では、多くの社員が確かなものにしがみつきたくなる。過去から積み上げてきた成功体験や価値観だ。
しかし、環境が大きく変わる状況の中では、それに依存しているだけでは成果が出にくくなっていく。その結果、士気は弱まり、一体感も失われていく。古い価値観が、かえって勝ち筋を見えにくくし、新規参入組が先に勝ち筋を発見する展開につながっていくことすらある。
このため、リーダーには社員の価値観に影響を及ぼし、快適なゾーンから引き離した上で、新しい角度から現実を直視することを求めることも必要になる。そのため、考え方の異なる相手に自ら歩み寄り、説得することに多くの時間をかけねばならない。もちろん、それをしたからといって、多くの社員が新しい環境にすぐ適応できるわけではない。
社員が新しい刺激を受け続け、そこから何かに気づき、新しい角度から現実を見られるようになるまでには、少なくとも半年は必要になる。その間、不透明でフラストレーションの多い状況に耐える必要がある。
こういう役割は、できることなら誰もが避けたいと思うことだろう。しかし、それを次世代のリーダーが担わなければ、オリンピックで勝てるような、士気の高い、一体感のある組織風土をつくることはできない。
優れたリーダーシップには
ある種の型がある
図はグローバルに活躍するリーダーが、どのようなリーダーシップを発揮しているのかについて調査 した結果である(ヘイグループのリーダーシップ診断データベースより作成。世界中で年間約3.8万人のリーダーを対象に実施)。優れた風土をつくり出しているリーダーは、ビジョンを示し、人間関係に配慮し、部下を巻き込み民主的な運営を行い、育成にも時間を割いていることがわかる。つまり、考え方の異なる人々のベクトルを合わせることに、多くの時間とエネルギーを割いているのだ。
