2.提供する製品を再考する

 タイタンは、潜在的な女性消費者が実用第一の時計にうんざりしていることに気がついた。彼女たちはブレスレット、指輪、チェーンなどを好んで身に着けている。タイタンの開発チームは、単なる時計を女性が好んでつけたがるエレガントな宝飾品に変えたらどうなるだろうか、と考えた。これが爆発的にヒットした。

 若者市場をターゲットとする際、タイタンはこれまでとは異なる斬新な広告を出して、スポーツカーのような響きの〈ファストラック〉(Fastrack)というブランド名で、かなり変わった外観の時計を発売した。ファストラックが売れ出すと、同社はこのブランドをサングラスのような新しい市場区分にも投入することを決定した。どちらの場合も、タイタンは自社の製品の重要な要素を再考し、その果実を得たのである。

3.失敗を想定する

 イノベーションへの取り組みは全体的に成功しているが、その過程ではいろいろ失敗もあったとバートは言う。「ひどい失敗をしたこともあった。もちろん、これからもそうしたことはあるだろう。幸い、我々は失敗からとても素早く学んだ。それこそが大事なことだ」。これはよくいわれることだ。最も優秀なベンチャーキャピタリストでさえ、10回のうち7回は間違える。もしたった1つか2つしかイノベーションに取り組んでいないのならば、飛躍的な成長を遂げる確率はかなり低いだろう。

 顧客のことを深く理解してイノベーションに取り組めば報われる、というタイタンの確信とともに、RAGAとファストラックは商業的に大成功を続けている。新しい市場で生き、提供する製品やサービスを再考し、失敗に対する心構えを持つ。この3つは、イノベーターを目指す誰にとっても重要な教訓である。


HBR.ORG原文:Three Innovation Lessons From India's Titan Watches October 3, 2011