エコノミストとしての技術者

 マネジメントの世紀が到来する兆しが、いつ、どこで最初に現れたのかを正確に示したいなら、「1886年5月にシカゴで」とすればよい。これは、エール・ロック・マニュファクチャリング・カンパニーの共同創業者ヘンリー・タウンが、当時はまだ歴史が浅かったアメリカ機械工学会で「エコノミストとしての技術者」という講演を行った時期と場所である。

 タウンは、世のなかには優れた技術者も優れた企業家もいるが、両方を兼ねる人物は稀有だと述べた。さらに、「工場のマネジメントはいまや、これだけ重要で影響も大きいのだから、おそらく、新時代の職業の一つとしても位置づける価値があるだろう」と力説した。

 タウンの講演は、少なくとも3つの点で新たな現実を予見していた。