変化と安定を両立させる

 企業リーダーが今日直面する最大の課題はおそらく、混乱と断絶が常態化するなかでどう競争力を保つかだろう。起業段階を過ぎた企業は皆、効率向上に主眼を置いており、素早く確実に事業機会を活かして脅威をかわす力、つまり戦略の機動性を発揮する力は二の次になっている。

 戦略を大きく転換する必要性に気づきながらも、全社一丸となって冷静に対処することができず、俊敏なライバルが機会をさらっていくのを脇で眺めるはめに陥った企業は、ボーダーズ・グループやリサーチ・イン・モーション(RIM)ほか、その気になれば100社は挙げられる。

 このような企業はお決まりのパターンをたどる。深刻な脅威に直面したり、新しい事業機会に目を留めたりした企業は、過去に有効だったプロセスを用いて大がかりな変革を短期間に無理やり進めようとして、失敗するのである。しかし、旧来の戦略立案・実行方法は役に立たなくなってきている。